米国の232条に基づく鉄鋼・アルミ製品への追加関税賦課と報復関税の撤廃でカナダ、メキシコと合意

(米国、カナダ、メキシコ)

トロント、ニューヨーク発

2019年05月20日

米国通商代表部(USTR)は5月17日、1962年通商拡大法232条に基づくカナダ、メキシコ産鉄鋼・アルミニウムへの追加関税(2018年6月1日記事参照)を撤廃し、カナダ、メキシコは同措置に対応した報復関税を撤廃することで合意した、と発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。その中で、この合意はカナダとメキシコの報復関税の対象となっていた農家にとっては素晴らしいニュースで、同時にこの合意は米国の鉄鋼・アルミニウム産業を守り続けるとして、合意の意義を強調している。

カナダのトルドー首相は、訪問中のオンタリオ州ハミルトンの鉄鋼メーカー・ステルコの工場で、「本日の決定はカナダの鉄鋼、アルミニウム産業の労働者、その家族、多くの地域社会にとって、素晴らしいニュースとなった」と述べた。

カナダ・グローバル連携省によるカナダと米国の共同声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(5月18日付)では、両国は以下のとおり合意した。

(1)米国とカナダは、この声明の発表から遅くとも2日以内に以下の関税を廃止する。

  • 米国が通商拡大法232条に基づきカナダ産の鉄鋼、アルミニウムに賦課している全ての関税
  • 米国による上記関税の賦課に対し、カナダが賦課を決めた全ての報復関税〔2018年6月29日付のものと7月11日(改定版)にカナダ国境サービス庁が発表したもの〕

(2)米国とカナダは232条に関する、WTOで係争中の全ての訴訟を終了させることに合意した。

(3)米国とカナダは以下を目的とした効果的措置を講じる。

  • 不当な助成を受けたり、ダンピング価格で販売されるアルミニウム、鉄鋼の輸入を防止する
  • カナダまたは米国以外で製造されたアルミニウム、鉄鋼の相手国への再輸出を防止する

(4)米国とカナダは、アルミニウムと鉄鋼の両国間での貿易を監視するための合意されたプロセスを確立する。この輸入増加の監視においては、両国とも、北米内で溶融、鋳造された製品とそれ以外の製品とを別に扱うことができる。

(5)市場シェアを考慮して、ある期間にそれまでの貿易量を超えて、アルミニウムまたは鉄鋼の輸入が大幅に増加した際には、輸入国は輸出国との協議を要請することができる。この協議後、輸入国は、急増した個々の製品に関して、鉄鋼については25%、アルミニウムについては10%の関税を賦課することができる。輸入国がそのような措置を講じた場合、輸出国は影響を受けた部門についてのみ報復に合意する。

米国政府はメキシコとの間でも、同様の内容の共同声明PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を発表している。ただし、メキシコとの声明では、鉄鋼の輸入が急増し再度、関税を賦課する際の状況判断として、「米国は新規投資によりメキシコから22万5,000トンのビレット(加工用の金属塊)の輸入は必要で、一方、メキシコは新規投資により米国から20万トンの冷延鋼鈑の輸入は必要とする」と、一定の目安を提示している。

(酒井拓司、若松勇)

(米国、カナダ、メキシコ)

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