米国との貿易摩擦、トルコ側の報復関税は22品目

(トルコ、米国)

イスタンブール発

2018年07月23日

米通商代表部(USTR)は7月16日、ドナルド・トランプ大統領が3月に発動した鉄鋼・アルミニウム製品への追加関税措置に対する報復措置を取ったトルコ、EU、中国、カナダ、メキシコを、WTOに提訴する手続きに入ったと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。トルコ政府は、6月末に米国からの輸入品22品目に対して報復関税を発動している。

トルコのルフサル・ペクジャン商業相は7月18日、米国がWTO提訴に踏み切ったことに関して、「トルコは、米国との貿易関係をさらに発展させたいと望み、米国の懸念を払拭(ふっしょく)させるために話し合いでの解決を探った。しかし、米国は追加関税措置に訴え、トルコも国内の産業を守るために同じ規模での報復関税を発動させざるを得なかった。トルコは、現状のネガティブな状況を望んでいない」とし、正常化への期待を述べた。

6月25日付の官報によると、米国からトルコに輸入される石炭、製紙、クルミ/アーモンド、たばこ、未加工米、ウイスキー、自動車、化粧品、機械機器、石油化学品など22品目に対して報復関税が課される(添付資料の表1参照)。トルコ側は、報復関税は約3億ドル規模で、米国の追加関税によるコストと等価だとしている。

国内輸入品価格の上昇に懸念

トルコの米国からの輸入額は、トルコの輸入額全体の5.1%の119億5,176万ドル(2017年)で、特に一般機械、航空機器、鉄鋼、鉱物性燃料、綿・綿織物、精密機器・医療用機器のシェアが高い(添付資料の表2参照)。輸入額全体のうち、報復措置の対象となった22品目の輸入額は約18億ドルで、米国からの輸入の14.9%を占める。

他方、輸入品依存の高い産業構造を持つトルコでは、輸入販売企業が報復関税のコストを価格に転嫁させることになるとみられており、付加価値税込みの市場販売価格が最大8割上昇すると懸念されている。会計事務所のKPMGトルコは、米国から輸入される製品について、たばこと化粧品が30%、自動車が60%、アルコール飲料は70%の価格上昇を予想している。また、両国の関税問題は、米国の生産拠点などからの調達や輸入を行っている進出日系企業にも影響するとみられる。

(エライ・バシュ)

(トルコ、米国)

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