第1四半期はメキシコが米国の最大の貿易相手国に

(メキシコ、米国、中国、カナダ)

メキシコ発

2019年05月13日

米国国際貿易委員会(ITC)が5月9日に発表した2019年第1四半期(1~3月)の貿易統計(通関ベース)によると、メキシコが中国、カナダを抜いて米国の最大の貿易相手国となった。米国の対メキシコ輸出は同期間に前年同期比0.03%増、輸入は5.4%増となったのに対し、対中国ではそれぞれ18.8%減、13.9%減、対カナダでは1.6%減、3.4%減だったため、往復貿易額でみると、対メキシコが前年同期比3.1%増の1,505億8,300万ドルで、カナダや中国を上回った(表1参照)。国別の貿易収支をみると、対メキシコは前年同期比24.2%増の226億7,600万ドルの赤字となり、カナダ(約4割減)や中国(12.2%減)と対照的な結果となった。

表1 米国の主要国別貿易額(1~3月)

メキシコは米国にとってカナダに次ぐ2位の輸出先であり、2019年第1四半期の輸出総額の15.7%を占める(カナダが17.7%、3位の中国が6.4%、4位の日本が4.5%)。輸入でみると、メキシコは中国に次ぐ第2位の相手国であり、同期間の輸入総額の14.5%を占める(中国が17.7%、3位のカナダが12.4%、4位の日本が6.0%)。メキシコとの往復貿易額が中国を上回ったのは2005年以来14年ぶりとなる。

通商法301条による追加関税措置の影響も

ITCのデータベースから米国の対中国、対メキシコ輸入額を品目別に抽出し、中国からの輸入が減少している一方でメキシコからの輸入が増えている主要品目を表2にまとめた。これをみると、コンピュータや自動車部品、ケーブル・ハーネス、変圧器・整流器、電動機・発電機といった電気・電子部品、医療機器、冷蔵庫、鉄鋼製品など多様な品目で中国からの輸入が減り、メキシコからの輸入が増えている。この背景には、米国が多様な中国製品に課している1974年通商法301条に基づく追加関税の影響があるとみられる。

表2 米国の輸入で中国産とメキシコ産で変化が対照的な品目(1~3月)

2018年8月から課税が開始された追加関税第2弾(リスト2)の279品目に含まれている中国製電子部品を多く用いる自動車部品の米国からメキシコへの生産移管や、2018年9月から課税開始されたリスト3の5,745品目に多く含まれている自動車部品の中国からメキシコへの生産移管の動きがみられ、進出日系企業の中にはこの動きに対応するための拡張投資を迫られている企業もある(2019年5月8日付地域・分析レポート参照)。また、中国企業が対米輸出拠点としてメキシコに工場を建設する動きもみられる(2019年5月9日記事参照)。

(中畑貴雄)

(メキシコ、米国、中国、カナダ)

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