トルドー首相、トランプ大統領と電話協議、対中関係解決へ支援を要請

(カナダ、米国)

米州課

2019年05月14日

カナダのトルドー首相は5月9日、トランプ米国大統領との電話協議で、中国で拘束されているカナダ人の解放に向けた支援要請を含む対中外交・通商上の問題について話し合った(カナダ首相官邸プレスリリース5月10日外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

カナダ政府が米国の要請に応じ、2018年12月に中国通信機器大手・華為技術(ファーウェイ)の最高財務責任者(CFO)を逮捕して以降、在中カナダ人2人が拘束されている問題(2019年5月8日記事参照)について、トルドー首相は「カナダは2人の解放に向け継続的な努力をしている」とし、解決に向け米国の支援を要請した(ロイター5月10日)。トランプ大統領は、カナダ政府の取り組みを支持したほか、中国との貿易交渉の動向について近況を報告した。

カナダはファーウェイ幹部の逮捕後、対中貿易で複数の懸案を抱えている。中国政府は3月、カナダ穀物大手リチャードソン・インターナショナルとビテラからのキャノーラ(菜種)油輸入禁止を発表した。4月には、通関書類上の問題からカナダ産豚肉製品の受け入れを拒否、大豆製品やエンドウ豆については不可解な出荷遅れや受け入れ拒否が報じられている(CBCニュース4月29日)。

両首脳による今回の協議の詳細は不明だが、カナダ・米国・メキシコ協定(CUSMA、新NAFTA)も取り上げられ、トルドー首相はカナダ産鉄鋼・アルミニウムへの追加関税撤廃の重要性を繰り返し説いた。カナダ政府は、カナダ産鉄鋼・アルミニウムに対する追加関税が撤廃されない限り、CUSMA批准が実現されることはないとしている(2019年4月12日記事参照)。両首脳はこうした事項などについて、今後も密に連絡を取り合うことで合意した。

(野口真緒)

(カナダ、米国)

ビジネス短信 7b8a9a9cf3c28c21