ウズベキスタン鉄道、カスピ海経由のトランジット輸送に積極関与へ

(ウズベキスタン、カザフスタン、中国、イラン)

欧州ロシアCIS課

2019年05月16日

ウズベキスタン鉄道は5月13日、カザフスタンのカスピ海沿岸の港湾都市アクタウからウズベキスタンの首都タシケントに向け、ブロックトレイン(注)輸送をスタートさせたと発表した。今回運行したコンテナ貨物列車は、20フィートコンテナ20本を積載した10両編成。

ウズベキスタン鉄道のウェブサイトでは、今回のブロックトレインの運行はカスピ海を経由する国際輸送路の発展に向けたウズベキスタン、カザフスタン、中国、イラン、トルクメニスタンの鉄道当局による協力につながるものとしており、同鉄道は今後、カスピ海経由のトランジット輸送に積極的に関与する姿勢をみせている。また、ウズベキスタン鉄道はジェトロのヒアリング(5月15日)に対して、今回輸送された貨物はカザフスタン産のセメントで、初の運行となるアクタウ発のブロックトレインはカザフスタン・ウズベキスタン国境では止まらず(税関検査などを経ずに)、そのままタシケントに到着すると説明。また、今後の定期運行化は荷主の状況次第で、広く貨物を集めていきたい、とコメントした。

同鉄道は、ロシア、韓国、中国、フランスなどに農産品を中心とした輸送実績があり、ウズベキスタン向け輸送では紙、金属製品、建材、自動車部品などの分野で豊富な実績と国際フォーワーダーとの協力経験がある、とPRしている。カザフスタンメディアも今回の輸送に関して、カザフスタンとウズベキスタンの鉄道輸送分野での協力は年々強化され、両国間の輸送量も増加している、と報じている(「カズインフォルム通信社」5月14日)。

中央アジア諸国の関係改善と、中国政府が提唱する「一帯一路」イニシアチブを背景に、中央アジア・ユーラシア地域では国境を越えた輸送協力が進んでいる。カザフスタン鉄道は自国港湾アクタウを経由するトランジット輸送の振興に努めており、4月16日にはアクタウからカスピ海対岸のアゼルバイジャン・バクー港までの定期フィーダー船の運航が開始された(2019年4月18日記事参照)。輸送開始から3週間で300本のコンテナが輸送されているが、現時点では輸送能力の4分の1にとどまり、貨物の誘致が課題だ。現在、米国、ジョージアからの食肉製品の輸入について交渉中で、今後、フィーダー船に冷蔵コンテナ用の電源を搭載する予定、と報じられている(ポータルサイト「クルシフ」5月14日)。また、中国とイランを結ぶ鉄道コンテナ輸送については、ウズベキスタン鉄道が参画し、カザフスタン・ウズベキスタンを経由するルートが実現した(2019年4月10日記事参照)。ウズベキスタン鉄道はジェトロに対し、同ルートでのブロックトレインの運行が既に数回行われたことを認めている。また、トルクメニスタンは自国港湾のトルクメンバシ港とカザフスタンを結ぶ道路建設を、今後進める計画だ(2019年4月12日記事参照)。

(注)コンテナ専用列車で、列車1編成の貨物全てが同一の起点と終点で輸送される。

(高橋淳)

(ウズベキスタン、カザフスタン、中国、イラン)

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