サンフランシスコ、商業ビルに再生可能エネルギー義務付け、段階的に対象を拡大へ

(米国)

サンフランシスコ発

2019年05月16日

米国サンフランシスコ市のロンドン・ブリード市長(注1)は4月22日、再生可能エネルギー促進に向けた計画を発表した。2022年までに50万平方フィート(約4万6,500平方メートル)以上の商業ビルに100%の再生可能エネルギーの調達を求める。2024年には25万平方フィート以上、2030年には5万平方フィート以上と、ビルの対象を拡大させる方針だ。

ブリード市長は2018年9月に温室効果ガス排出削減に向けたコミットメントを発表し、2030年までに市内の全ての電力を再生可能エネルギーに切り替えるとした。サンフランシスコ市は段階的に二酸化炭素(CO2)排出を削減しており、2017年には1990年比で35.6%を減らした(添付資料参照)。CO2を排出する部門別に見ると、排出の46%が輸送、44%がビルとなっている。市の発表によると、今回の商業ビルを対象とした施策では、対象の50万平方フィート以上のビルのCO2排出が21%削減される。

ブリード市長は会見で、「サンフランシスコは常に持続可能性の実現に向けたリーダーだ。商業ビルに再生可能エネルギーの100%導入を課す今回の施策は、サンフランシスコがさらなる持続可能性のある都市になる過程の重要なステップだ」と述べた。

会見には市長とともに、再生可能エネルギーを推進する行政機関のサンフランシスコ公益事業委員会(The San Francisco Public Utilities Commission、SFPUC)も同席した。同委員会は2016年5月から「クリーン・パワーSF」と呼ばれるプログラムを運営。プログラムではPG&E(カリフォルニア州の電力会社)の送電網を通じて供給される再生可能エネルギーを競争力がある価格で買い取り、住民や事業者向けに提供している(注2)。SFPUCゼネラルマネジャーのハーラン・ケリー氏は「36万以上の住民と事業者がクリーン・パワーSFを選択可能となっている。このプログラムは市の野心的な気候変動の目標を達成するための重要な役割を果たしている」と述べた。

市長は再生可能エネルギーへの移行を進めるため、環境局内にタスクフォースを招集することを同時に発表した。タスクフォースは2020年初めまでにビルの脱CO2に向けた具体的なロードマップ作成を期待されている。

ロサンゼルス市の取り組み「グリーン・ニューディール計画」については、2019年5月8日記事参照

(注1)2018年6月に当選し、サンフランシスコで初のアフリカ系女性市長となった(2018年6月20日記事参照)。

(注2)利用者には再生可能エネルギーの導入率に応じて3つの選択肢がある。詳細はクリーン・パワーSFのウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます参照。

(石橋裕貴)

(米国)

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