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ロスネフチ、極東での巨大原油精製・石化コンビナート建設中止を表明

(ロシア)

欧州ロシアCIS課

2019年05月15日

ロシアの石油採掘大手ロスネフチは5月13日、ナホトカでの原油精製・石油化学コンビナート建設事業に関し、採算性の悪化から現時点で投資対象から外れていると発表した。2019年第1四半期(1~3月)の同社の業績発表に合わせ実施された機関投資家向け電話会議で、同社第1副会長のパベル・フョードロフ氏が述べた。

事業中断の理由としてフョードロフ氏は、連邦政府が1月から導入した石油業界に対する税制変更(輸出税の引き下げと鉱物資源採掘税の引き上げ、2018年9月21日記事参照)による税負担の増加に伴う採算性の悪化を挙げた。この税制変更は、ロシア連邦政府がプーチン大統領の内政目標(5月の大統領令、2019年5月13日記事参照)実現のための政策財源を補うことを目的に導入されたが、負担が増加するロスネフチやルクオイルなどのロシア石油採掘大手企業、輸出関税を優遇された原油をロシアから輸入し国内で精製するベラルーシからも不満が噴出している(2019年1月25日記事参照)。

ロスネフチが計画する原油精製・石油化学コンビナート建設事業は、東シベリア・太平洋原油パイプライン(BSTO)の終点の沿海地方コジミノ湾に建設を予定しているもので、ロシア政府が推し進めるロシア極東経済・社会発展政策の柱とも言える巨大プロジェクト。同社資料によると、総事業費は1兆3,100億ルーブル(約2兆2,270億円、1ルーブル=約1.7円)で、フェーズは3つに分かれる。第1フェーズは年1,200万トンの原油精製能力を構築し、投資額は3,800億ルーブル。第2フェーズは年3,400万トンの化学原料製造工程を建設し、投資額は3,100億ルーブル。第3フェーズは原油精製と石油化学原料製造能力を各2倍に引き上げる。投資額は6,200億ルーブル。

同事業は経済的効果のほか、副次的効果も含めて10万人の雇用創出、地元自治体の税収増による社会インフラの整備、ロシア極東地域への安定したガソリン供給、極東連邦大学での石油化学分野の人材育成など、地元への影響が極めて大きい。連邦政府は事業実施地域をさまざまな税優遇を供与する優先的社会経済発展区域(TOR)に指定するなど、積極的な支援を続けている(2017年2月13日記事参照)。

今回はロスネフチのイゴリ・セチン会長による正式な発表ではないため、今後の連邦政府との交渉次第では事業が再開される可能性がある。また、毎年9月にウラジオストクでプーチン大統領が出席して開催される「東方経済フォーラム」に関連して、同事業に係る署名文書(覚書・協定・契約など)に含まれる金額はフォーラム自体の実績に直結するため、事業の凍結・中止は連邦政府にとっても好ましい状況とは言えず、今後、石油税制をめぐり連邦政府と同社を含めた業界との駆け引きが加速する可能性がある。

(高橋淳)

(ロシア)

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