連邦政府、プーチン大統領任期中の政策目標達成に向け数値指標を設定

(ロシア)

欧州ロシアCIS課

2019年05月13日

ロシア連邦政府は5月8日、2018年5月にプーチン大統領が出した4期目の政権(内政)目標である「5月の大統領令(マイスキ・ウカス)」の実現に向けた、2017年から2024年までの重要(特徴的)数値指標を設定した。

今回発表されたのは「2024年までのロシア連邦発展国家目標達成に向けた単一計画」(2019年5月7日付第4043p号-P13)で、本文には「5月の大統領令」で示された7項目についてのロシアの現況と、その達成に向けた政策の概要が記載されている。付属資料では、プーチン大統領の今任期末となる2024年までの各年について、(7つのうち)6つの目標を達成するための特徴的な項目について、数値指標が設定された(添付資料参照)。

年次の数値指標について、実質GDP成長率予想は経済発展省経済予測の数値を採用し(2019年4月16日記事参照)、世界のGDP順位(購買力平価)では現在5位のドイツを2023年に追い抜くとしている(注)。一方、数値設定全体をみると、2020、2021年以降が大きく伸びており、この背景には、直近での世界経済の減速(2019年4月11日記事参照)に加え、目標自体が非常に高く設定されているため、実現に向けた大きな伸びを政策実行期間の後半に期待せざるを得ない状況などが勘案されている可能性がある。

今回の注目されるのは、同大統領が掲げた目標が外的要因で未達成となる可能性を明記している点だ。「発展国家目標達成に向けた大きな外的なリスク」として、a.世界経済の成長の減速、b.資源価格の下落、c.新興国の金融危機および資本の引き揚げ、d.新興国からの資金引き揚げを伴う米国連邦準備制度理事会(FRB)の金融引き締め政策、e.世界での「貿易戦争」の激化による関税・非関税障壁の導入、f.ロシア経済に対する制裁措置の強化、の点を挙げている。著名エコノミストで元財務相のアレクセイ・クドリン会計検査院議長らは、以前(2018年10月ごろ)から同目標の100%達成には懐疑的な見方を示し続けており、今回、連邦政府も目標未達成のリスクを公式に認識し始めたかたちとなった。

(注)IMF統計を基にする。

(高橋淳)

(ロシア)

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