米中貿易摩擦で大豆国際価格が下落、アルゼンチン産大豆に影響

(アルゼンチン、中国、米国)

ブエノスアイレス発

2019年05月14日

米国が5月10日、中国原産輸入品のリスト3に記載された品目に対して追加関税率を引き上げたことなどで、両国間の貿易交渉が長期化する様相の中(2019年5月13日記事参照)、アルゼンチンの穀倉地帯サンタフェ州の州都にあるロサリオ穀物取引所(BCR)は、貿易摩擦の過熱によって同州の主要産品である大豆の行方に影響を及ぼす可能性があると警戒している。

米中の貿易摩擦は2018年7月から顕著になっており、中国政府は米国産大豆に対して25%の追加関税を継続している。BCR関係者によると、当初はアルゼンチン産大豆が米国産の代替になり得るとして有利に働くと思われたが、米国内で増加する在庫により、結局は国際市場価格の下落につながっているという。また、最近はアフリカ豚コレラの発生により、中国の家畜豚の飼料用大豆の消費も減少すると見込まれているなど、好材料に乏しい状況にある。

2018年第2四半期(4~6月)から続くアルゼンチンの経済低迷のきっかけとなったのが、同年に発生した半世紀に1度の干ばつの影響を受けた主要農作物の生産量と輸出量の減少だ。しかし、BCRは2018/2019年度の大豆の最終生産量を前期比60%増の5,600万トンと予測しており(2019年5月14日記事参照)、アルゼンチン政府は今期の大豆生産の回復を通じた景気の回復や税収への貢献を期待している。

(クラウディオ・ボチャタイ、紀井寿雄)

(アルゼンチン、中国、米国)

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