中国、審査再開後初めて海外ゲーム輸入を認可

(中国)

中国北アジア課

2019年04月10日

中国国家新聞出版広電総局は4月2日、中国で輸入が批准(認可)された海外のネットゲームタイトルのリスト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。同リストには、米国やフィンランドなど、さまざまな国・地域のゲームが30タイトル記載されている。中には、「バンドリ!ガールズバンドパーティー!」や「英雄伝説 星の軌跡」など、日本の作品や日本IP(知的財産)の作品も記載されている。

中国にはゲームも含め、外国のコンテンツに対し厳しい規制が敷かれており〔調査レポート「中国コンテンツ市場調査2017年版」(2018年3月)参照〕、中国でゲームを配信、販売する場合には、事前に関連部局の審査を受けて許認可を取得する必要がある。中国は2018年3月から、ゲームの配信、販売に必要な審査を事実上凍結していた。この凍結の背景には、ゲームへの過度な課金や若者への悪影響などがあるとみられる。しかし、今回のリストの発表により、凍結後初めて中国外のゲームの輸入を批准(認可)したことになった。

輸入批准タイトルは減少する可能性も

中国のゲーム市場は急成長している。ゲーム、eスポーツおよびモバイル市場調査を専門とするオランダのNewzooによると、2016年の中国のゲーム市場規模は246億ドルと、米国を抜いて世界最大となったという(2018年5月7日付地域・分析レポート参照)。しかし、2018年3月から、ゲームの審査が事実上凍結され、中国のゲーム市場や国内外のゲーム関連企業は大きな衝撃を受けた(「日本経済新聞」2018年8月17日)。実際、「2018年中国ゲーム産業報告」によると、2018年の中国のゲーム産業の販売額は前年比5.3%増の2,144億4,000万元(約3兆6,455億円、1元=約17円)で、2008年以降では初の1桁増となった(2018年12月26日記事参照)。

「新京報」(2018年12月21日)によると、2018年12月に海南省海口市で行われた「2018年度中国ゲーム産業年会」で、中国共産党中央宣伝部出版局の馮士新副局長が、ゲーム認可審査を再開したと明らかにした(2018年12月26日記事参照)。しかし、地元メディアなどによると、2019年の認可件数は従来の7,000~8,000件から3,000件前後になるとの見方を示している(「IT之家」2018年12月22日)。

中国市場を見据えるゲーム関連企業にとっては、今回のリストの発表は朗報といえる。ただし今後は、今まで以上にゲームに関する規制を注視していく必要があるだろう。

(楢橋広基)

(中国)

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