ゲーム認可審査を再開も、企業の道徳的責任を強調

(中国)

広州発

2018年12月26日

海南省海口市で12月19~21日、「2018年度中国ゲーム産業年会」が開催された。同会は国家ニュース・出版署の主管、中国音像・デジタル出版協会などの主催で、(1)国内ゲーム産業の発展エンジンの集積、(2)国内外の関係者が中国ゲーム産業を理解する窓口、(3)科学的・客観的にゲーム産業を宣伝し、クリエーティブ産業のイメージを確立すること、を目的とする。14回目の今回は「責任と発展」をテーマに、政府・企業関係者が出席した。

共産党海南省委員会常務委員・海南省宣伝部長の肖鶯子氏は、海南生態ソフトウエア園の中国ゲームデジタルポートに、11月時点で640社が入居していることを紹介した上で、「ゲーム産業は海南省の文化産業発展における一大注目点となっている」と海南省でのゲーム産業の発展を強調した。全国政治協商会議委員で中国音像・デジタル出版協会長の孫寿山氏は国内のゲーム産業の発展は安定し、多くの作品・企業が海外へ進出しているとしながら、「同質化や優れた作品の不足、社会的利益を無視し、経済的利益だけを追求するなどの問題がある」として、法律面だけでなく道徳・倫理的にも責任を持つべきとした。

同会に出席した中国共産党中央宣伝部出版局副局長の馮士新氏は、ネットゲームは国民の文化・娯楽の重要な構成要素となっているが、オリジナリティーの不足、文化的素養の欠落、価値観の偏向、社会的責任を果たしていない、などの問題があるので、絶えず方向性を正さなければならないとした。

報道によれば、馮副局長は、4月以降停止されているゲーム認可審査を再開したと明らかにしたとされる(「新京報」12月21日)。申請されているゲームの数が多いため、しばらく時間がかかるものの、「努力して業務を進める」と述べたとされる。

ほかにも、同年会にはテンセント高級副総裁の郭凱天氏、網易(ネットイース)副総裁の王怡氏ら、主要ゲーム関連企業の幹部も参加した。

ゲーム業界の自律宣言を提唱

同年会では、ゲーム産業のさらなる健全な発展を推進するため、「中国ゲーム業界自律宣言」が提唱された。宣言では、社会主義の核心的価値観の実践、内部管理制度の構築、反動的・暴力的・色情的なものやテロリズムに関する内容の排除徹底、実名登録制度の徹底などがうたわれている。また、海外業務の積極化により、「中華文化の影響力・競争力の向上」を目指すとしている。

(河野円洋)

(中国)

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