政府、ファストフード店にごみ分別順守を要請

(フランス)

パリ発

2019年04月19日

環境移行・連帯省が4月7日、ごみ分別対策に関するロードマップを提出していないファストフード店の名前を公表したと、フランス国内の複数メディアが報じた。

ブリュヌ・ポワルソン環境移行・連帯副大臣は、ファストフード店が廃棄物に関する法律を順守していないことを問題視。1月31日に大手ファストフードの代表者を呼び出し、店内に目的別のごみ箱を設置するなどごみ分別対策に関する戦略を3月末までに提出するよう求めていた。今回、この取り組みが十分に行われていないと判断した企業の公表に至った。

ファストフード業界は、年間18万トンの包装廃棄物、6万トンの食品廃棄物を出している。フランスでは2007年以降、食品廃棄物のリサイクルの義務化を進めており、年間10トン以上(1日約240食)の食品廃棄物を出すレストランは、2016年1月から食品廃棄物のリサイクルが義務付けられている(2016年2月4日記事参照)。さらに2016年7月からは、紙、金属、プラスチック、ガラス、木材の廃棄物の分別が義務付けられた。食品廃棄物の規制違反の場合、刑事罰として最高2年の禁錮刑、7万5,000ユーロの罰金、プラスチックや紙の廃棄物の規制違反の場合、行政処分として店舗閉鎖の対象となる。

さらに、EU全体の取り組みとして2018年1月に発表された「欧州プラスチック戦略」(2018年1月19日記事参照)に沿うかたちで、政府は2018年4月、2025年までにプラスチック廃棄物の100%リサイクル、廃棄物の分別の順守、食品ロス対策の強化などを目標とする「循環経済ロードマップPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」を発表した。今後策定される「循環経済法」では、廃棄物の分別に対する証明書の作成に関する義務や、食品廃棄物の利活用も盛り込まれる予定としている。

ファストフード各社は、提出した戦略について2019年4月末までに政府から承認を得て確定させ、9月から実践することが求められている。

ポワルソン副大臣は「衛生規則を怠ろうと考えるレストランはない。ごみの分別も同じ環境衛生の問題だ。地方議員と連携し、法律に違反する企業に対しては行政、刑事罰もいとわない」と、強い姿勢を示している。

(奥山直子)

(フランス)

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