ブラジルとメキシコの自動車貿易が自由化も、原産地規則は厳格化

(ブラジル、メキシコ)

サンパウロ発

2019年04月04日

ブラジル経済省および外務省は3月18日、同日をもってラテンアメリカ統合連合(ALADI)経済補完協定(ACE)第55号付属書II(通称:ブラジル-メキシコ自動車協定)の改定規定が効力を失い、翌19日から両国間の自動車部品や完成自動車(トラック、バスを除く)の貿易が自由化の状態に回帰するなどの発表を行った。

ブラジル-メキシコ自動車協定は2002年に締結され、基本的には、自動車部品は2003年から、完成自動車(可積載量8,845キロ以上のトラック、バスを除く)は2007年から、所要の域内調達率(RVC)を満たす限り関税撤廃の扱いとなるものだった。ところが、完成車および自動車部品の貿易不均衡などを主たる理由として、完成車に対する無関税上限枠の設定や、自動車部品に関するRVCの厳格化といった改定がされてきた。

今般の改定規定の失効により、トラック、バスを除く完成自動車については、これまで設けられていた無関税上限枠が撤廃されて自由化するとともに、域内原産と見なされるためのRVCが35%から40%へと上昇した(2019年4月2日記事参照)。トラックとバスの扱いについては今後、両政府間で交渉が行われることになった。

自動車部品については、原産品と見なされるためのRVCが35%から40%へと上昇するとともに、RVCの低減が許容されていた一部の品目について特別扱いが消滅した(注)。この結果、個別の自動車部品が原産品と見なされるハードルが上昇することになった。

2018年の直近のメキシコからブラジルへの完成車輸出額は、無関税上限枠を下回る額で直ちに影響が出るものではないが、ブラジルは景気回復の途上にあり自動車需要の増加が見込まれており、今後影響が出てくる可能性がある。

ブラジル全国自動車製造業者協会(ANFAVEA)は、ブラジルの自動車産業の競争力はメキシコよりも劣るため、かねて無関税上限枠をさらに3年間継続することを要望しており、2019年3月28日にはあらためて無関税上限枠の復活を要望する決議を採択した。

また、在ブラジルの日系自動車関連企業の中には、メキシコから部品を調達している企業もあり、本自動車協定の変更によって、調達方針に影響を受ける企業が出ることが予想される。一部の企業からは、RVCが35%から40%に上昇することは織り込み済みで、特段影響はないとする声が聞かれたが、実体的な影響の有無については、今後も注視していく必要があるだう。

(注)個別に低い域内調達率が許容されていた品目については、2017年1月16日記事参照

(岩瀬恵一)

(ブラジル、メキシコ)

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