ロシア日産自動車製造、ベラルーシ・カザフスタン市場向けの輸出強化

(ロシア、カザフスタン、ベラルーシ)

欧州ロシアCIS課

2019年04月11日

日産自動車は4月8日、サンクトペテルブルクにある同社自動車組み立て会社「ロシア日産自動車製造(NMGR)」と、大手銀行「ロスバンク」の子会社「RBファクタリング」、政府機関「ロシア輸出・投資保険機関(EXIAR)」がベラルーシ、カザフスタン向け輸出に関するファクタリングサービス契約を締結したと発表した。

ファクタリングとは、他人が有する売掛債権を買い取って回収するサービスで、NMGRが製造した自動車がベラルーシ、カザフスタンのディーラーに輸出される際に、商品が現地到着後すぐにRBファクタリングからNMGRへ輸出代金が支払われる仕組み。国際ファクタリングを介することで、支払い条件などをより柔軟に対応でき、債権・債務者双方にとって資金オペレーションの負担が軽減することから、現地での競争力強化にもつながる可能性がある。ロシアで日産が同サービス契約を締結するのは初めてで、NMGRのアレクセイ・スラベ財務部長は「流動性の向上と販売台数の増加、生産コストの改善が期待できる」とコメントしている。

RBファクタリングは、フランスのソシエテ・ジェネラルグループに属するロシア大手銀行ロスバンクの子会社で、同社ウェブサイトによると、ロシア国内でのファクタリングを主力事業とするほか、ファクターズ・チェーン・インターナショナル(FCI)のメンバーとして、国際的なネットワークが利用できるとしている。政府系機関のEXIARも、貿易保険制度などを利用して今回のスキームを支援するとみられる。

ロシア政府は自動車産業育成策の重要な柱として、ロシア国内で製造された自動車の国外輸出を積極的に推進している(2018年5月11日記事参照)。連邦政府は国内の自動車組み立てメーカーに対して、政府による支援を受ける条件として輸出や国内での研究開発に積極的に取り組むことを求めており(2019年1月21日記事参照)、今回の契約もその流れに沿ったものと言える(2018年11月16日記事参照)。

日産のプレスリリースによると、2018年にNMGRはベラルーシとカザフスタン向けに前年比50%増となる5,747台の乗用車を輸出し、総売り上げは49%増となる64億9,223万9,292ルーブル(約110億3,681万円、1ルーブル=約1.7円)だった。また、部品輸出も行っており、2018年にはNMGRで製造した「エクストレイル」向けバンパー1万7,000個と吸音マット450トンが欧州へ輸出されている。

(高橋淳)

(ロシア、カザフスタン、ベラルーシ)

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