2025年までの自動車産業発展戦略を策定

(ロシア)

欧州ロシアCIS課

2018年05月11日

ロシア政府は5月4日、2025年までの自動車産業発展戦略を策定し、ウェブページ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますに公開した。策定・承認されたのは、政府決定第831-r号「2025年までの自動車産業発展戦略の承認について」(2018年4月28日付)。

前回の戦略(設定期間:2010~2020年)では自動車(部品)製造の現地化が主目標だったが、今回の発展戦略では、a.自動車・部品の輸出、b.長期的視点での産業育成、c.ハイテク研究・インフラ整備の3つに重点が置かれている。

輸出に関しては、2025年のロシアでの乗用車販売台数の政府予測は223万台(2017年実績は151万台)で、過去最高を記録した2012年(293万台)に及ばない。国内市場頼みの成長は限界で、規模のメリットを出すためにも国外への輸出を指向する。同戦略では2025年にはロシアで製造された自動車(予測は221万台)の12~14%以上を輸出に回すとしている。

b.については、生産の現地化をさらに進める。現状のロシアで製造される乗用車の6割は現地化率50%以上(価格ベース)を達成しているが、2025年には全体の現地化率70~75%を目指す。中でもエンジン、トランスミッション、運転システム、先進運転支援システム(ADAS)、トラクションバッテリー(電気車用電池)を優先分野とする。

また、ロシアで設計されたプラットフォーム(注)を採用した自動車の生産増を目指す。現在、生産台数の約40%がルノー・日産連合、現代、フォルクスワーゲングループのプラットフォームを採用。ロシア独自のプラットフォームで製造された乗用車は29%。ロシアの自動車産業が国際的なコンソーシアムに組み込まれた結果、世界統一プラットフォームの採用が進む(2018年5月9日記事参照)。現状ロシアにとって、外国で設計されたプラットフォームの採用は国内市場への柔軟な対応とコスト削減が目的で、輸出増と地場部品メーカーの国際競争力強化には直結しないとして、政府はロシア独自のプラットフォームの開発を主導する予定だ。

c.に関しては、電気自動車、交通システム、自動運転の3点について技術、インフラ、規制、素材の4つの観点から積極的に研究開発を進める。モスクワ、サンクトペテルブルク、エカテリンブルグ、ノボシビルスク、ロストフ・ナ・ドヌー、ソチ、ウラジオストクの7都市に電気自動車や自動運転の実験に向けた優先的なインフラ発展地域を創設することを明記。自動運転分野を中心に、ロシア国内・ユーラシア経済連合(EEU)域内で統一的に適用される法律や技術規則の導入・整備を進める。

(注)複数の車種で共通する基幹部品の組み合わせ。シャシー(車台)やベースフレームのみを指す場合と、これに構成部品を含めて指す場合がある。

(高橋淳)

(ロシア)

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