英国産業界、離脱延期を歓迎するも、延期の目的・期間に懸念
(英国)
ロンドン発
2019年03月18日
英国のEU離脱(ブレグジット)問題は、3月12~14日の英国議会投票の結果、3月29日の離脱を延期する方針で固まった(2019年3月13日、2019年3月14日、2019年3月15日記事参照)。産業界は、離脱延期をおおむね歓迎したものの、延期の目的を明確にし、ビジネスが十分準備できる期間を設ける必要があると警告した。
英国産業連盟(CBI)は、14日の離脱延期を問う議会投票の前に、企業10社のうち9社が合意なき離脱(ノー・ディール)よりも離脱延期を要望しているとの調査結果を公表した。離脱延期が可決された後、ジョシュ・ハーディー副事務局長は、議会がノー・ディールを拒否し、離脱延期を望んだことを歓迎したものの、「根本的に新しいアプローチがないと、延期が(企業にとって望ましいかたちでの離脱に向けた手続きなどの)実行の単なる停止となることを企業は恐れている」と指摘し、下院議員は議会が何を望んでいるかを早急に決める義務があるとした。
英国商工会議所(BCC)のアダム・マーシャル事務局長は、多くの企業が離脱の延期を歓迎しているが、「(離脱延期の)目的と期間がまだ決まっていない。EUと延期期間に合意するまでは、3月29日にノー・ディールで離脱することがデフォルトになっている」と指摘。議会が合意に達するまでの間でも、企業はコンティンジェンシープランの策定を続けなくてはならず、不安が高まり、顧客を失っているとの現状と示し、「ビジネス、雇用、投資、コミュニティーは、いまだに危険地帯にいる」と警鐘を鳴らした。
英国自動車製造販売者協会(SMMT)のマイク・ホーズ会長は、議会が明確にノー・ディールを拒否したことを歓迎したものの、「いかなる離脱の延期であっても、目的があるもので、ビジネスに安定性をもたらすのに十分な期間でなければならない」とした。
調査会社ユーガブ(YouGov)が3月14日の離脱延期についての議会投票前に実施した世論調査では、下院での離脱延期の否決支持が43%、延期希望が38%だった。また、延期する場合は短期間の延期が47%、長期間の延期が33%だった。
(鵜澤聡)
(英国)
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