1月の可処分所得は前年同月比1.3%減、消費活発化への動き鈍く

(ロシア)

欧州ロシアCIS課

2019年02月20日

ロシア連邦統計局は2月19日、2019年1月の社会経済状況情報(統計)を発表した。住民の実質可処分所得は前年同月比1.3%減で、消費の活発化に向けた動きはいまだ遅れている。

統計局の発表によると、1月の1人当たり実収入は2万4,496ルーブル(約4万1,643円、1ルーブル=約1.7円)で前年同月比4.2%増となったが、2019年1月からの付加価値税や公共料金の引き上げ、インフレなどの影響で実質可処分所得が前年同月比減となった。2016年以降のロシア経済の緩やかな回復にもかかわらず、実質可処分所得は前年比マイナスもしくは同水準の傾向が続いている。2018年12月に統計局長官が交代した際には、複数の閣僚から同数値の計算方法に疑問が出されていたため(2018年12月25日記事参照)、最新の統計に注目が集まっていた。

一方、新長官着任後の連邦統計局は、2月4日に2018年のロシアの経済(GDP)成長率を2.3%として発表したが、経済関連機関の予想を上回る数値だったため(2019年2月5日記事参照)、ロシア国内から数値の正確性に疑問を投げかける声がいまだに続いている。2月19日には著名エコノミストのアレクセイ・クドリン会計検査院議長が「GDP成長率の算出について、より客観的な手法を検討すべき」とコメントしている。今回の統計についても、当初発表された資料には実質可処分所得の項目が含まれておらず、その後に資料が差し替えられて公表されたと報じられており、プーチン大統領の一般教書演説を翌日(20日)に控えたタイミングで公表することを、統計局が控えようとしたのではないか、との憶測を呼ぶ結果となっている(ポータルサイト「フィナンツ・ル」2月19日)。

(高橋淳)

(ロシア)

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