2018年の経済成長率は2.3%、国内外の予想を上回る伸び

(ロシア)

欧州ロシアCIS課

2019年02月05日

連邦統計局は2月4日、ロシアの2018年の経済成長率を2.3%と発表した(速報値)。過去6年間で最も大きな伸びとなる(図参照)。GDPは103兆6,266億ルーブル(約176兆1,652億円、1ルーブル=約1.7円)となり、初めて100兆ルーブルを超過した。経済活動別では鉱物採掘(前年比3.8%増)、木材加工など(9.5%増)、輸送機器生産(11.8%増)、建設(4.7%増)、ホテル・外食(6.1%増)、金融・保険(6.3%増)などが大きく増加した。

図 ロシアの経済成長率、国内総生産

今回発表の統計は国内外の予測を上回るもので、ロシア国内でも驚きをもって報じられている。連邦統計局は2018年12月末に2016~2018年の経済統計の見直しを実施。2016年の経済成長率をマイナス0.2%から0.3%のプラス成長と修正し、2017年の経済成長率を1.5%から1.6%に引き上げた。2018年については、同年12月の建設分野での経済成長が大幅に上積みされた(注)。その結果、経済発展省は1月25日に、2018年の経済成長率予測を1.8%から2.0%に引き上げたが、今回の発表はそれをさらに上回った。ロシア中央銀行や世界銀行、IMFなどは1%台の経済成長を予想していた(2019年1月9日記事参照)。

外国貿易銀行副会長・経済発展省元次官で著名エコノミストのアンドレイ・クレパチ氏は「(統計の見直しに関する)議論の状況が明らかにならない時点で経済成長に関する議論を行うのは適切ではない」と述べる(タス通信2月4日)など、民間エコノミストは今回の統計の解釈に慎重な見方を示している。また、一部メディアでは「統計局長官の交代(2018年12月25日記事参照)から1カ月で、見えない国内総生産100億ドルを発見」と報じるなど、生活水準の改善を実感できない国民の肌感覚とのずれをやゆする報道も見られる(ポータルサイト「フィナンツ・ル」2月4日)。

(注)建設分野の2018年1~11月期の成長率は前年同期比で0.5%増だったが、2018年通年(1~12月)では5.3%増と急増した。ヤマルLNG事業関連の建設工事(2018年12月12日記事参照)を含めたことが要因とする報道もある。

(高橋淳)

(ロシア)

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