2018年の乗用車生産は前年比16%増

(ロシア)

サンクトペテルブルク発

2019年02月28日

自動車専門調査会社ASMホールディングによると、ロシアにおける2018年の乗用車生産台数は前年比16.0%増の156万3,600台。2年連続で前年を上回った(図参照)。

図 ロシアにおける乗用車生産台数の推移

内訳をみると、ロシアブランド車は41万4,900台(前年比18.1%増)、外国ブランド車は114万8,700台(前年比15.1%増)となった。ブランド別では、ロシアブランドの「ラーダ」が前年比19.1%増だった。外国ブランドは、在サンクトペテルブルクの外国ブランド自動車メーカー(トヨタ、日産、現代の合計)が前年比8.5%増、ルノーが3.5%増、カリーニングラード州の自動車組み立て会社アフトトルが47.2%増という結果だった。日産は、2018年にサンクトペテルブルク市内の同社工場での生産台数が過去最高を記録したことを発表している(2019年2月18日記事参照)。

生産拡大の背景について、在サンクトペテルブルクの自動車業界関係者は「ロシアのGDP成長率が前年を上回るなど、景気が緩やかに回復しており、それに伴い自動車市場および生産も緩やかに拡大している」と分析。さらに、2018年の特徴的な要因として、a.ルーブル為替レートが大きく変動する中、手持ちの現金を有形固定資産に変えるために自動車を購入する動きがみられたこと(2018年10月31日記事参照)、b.2018年3月の大統領選挙前に現体制下での予算消化を狙った行動が取られたこと、c.2019年1月1日に実施された付加価値税引き上げ(2018年8月6日記事参照)前に駆け込み需要が発生したこと、d.サッカーワールドカップ・ロシア大会で利益を上げた土木・建設事業者、輸送事業者、ホテル事業者などによる自動車購入が目立ったこと、の4点を指摘し、これらの需要拡大によって生産も増加したと述べた。

(一瀬友太)

(ロシア)

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