ロシア政府、2024年までの約26兆ルーブルの国家事業概要を公表

(ロシア)

欧州ロシアCIS課

2019年02月12日

ロシア連邦政府は2月11日、プーチン大統領が2018年5月に発表した、2024年までの内政目標(マイスキー・ウカス)の具現化を目指すための13分野での国家事業の数値目標と成果目標をウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで公表した。これは、連邦政府が2024年までの目標達成に向け、2018年夏から冬にかけての議論を取りまとめた国家事業の概要を説明するもの。事業規模は2019年から2024年までの6カ年で総額25兆7,000億ルーブル(約43兆6,900億円、1ルーブル=約1.7円)を予定している。最も多額の連邦政府予算が投下される分野は「基幹インフラの更新・拡大」となる(表参照)。

表 2024年までの国家事業の個別予算構成

公表された資料では、13の各分野での国家事業について、a.実現期間、b.分野での目的・目標数値、c.予算の内訳、d.責任者、e.個別事業の目標値、などが記載されている。国家事業の資金源は、a.連邦(政府)予算、b.地方(政府)予算、c.予算外政府基金、d.予算外資金(民間資金など)の4つに分かれており、分野によって投入予算の構成が異なる。社会分野では、「保健」「人口」などに連邦予算を集中的に投入する半面、「環境(エコロジー)」については大部分を民間資金などの外部資金に依存することが想定されており、制度設計次第では民間資金が呼び込まれず、目標実現が困難になる可能性がある(注)。

経済分野では、「中小企業活動(支援)」と「国際協力・輸出」分野を連邦予算で主体的に支援する。輸出に関しては、非資源分野である、a.自動車・機械、b.化学製品、c.金属製品、d.木材製品、e.医薬品・化粧品、f.軽工業品、g.農産品を重点的に支援する。ロシア政府が積極的に取り組む「デジタル経済」や「基幹インフラの更新・拡大」は予算規模が大きい一方、多額の民間資本の投下も予定されている。通信大手ロステレコム(通信網整備、2018年1月26日記事参照)、ロシア鉄道(鉄道幹線整備)、水力発電大手ルスギドロ(ロシア極東の発電・電力網整備)、ガスプロム・ロスネフチ(パイプライン敷設、2018年10月18日記事参照)など、政府系企業による大規模投資が想定されている。

(注)1つの事例として、深刻さを増すロシアのごみ問題については2019年1月22日付地域・分析レポートを参照。

(高橋淳)

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