ロシア極東のエネルギー輸送網を増強

(ロシア)

欧州ロシアCIS課

2018年10月18日

ロシア政府が10月11日に発表した政府指示第2101号-r「2024年までの基幹インフラの近代化と拡大の複合計画」(9月30日付、注)では、ロシア極東のエネルギー輸送インフラの拡充が大きな柱の1つに据えられている。

拡充の内容は、a.天然ガスパイプライン(P/L)、b.石油P/Lの輸送能力、c.発電・送電能力の3つに区分される。

a.は建設中の幹線天然ガスP/L「シベリアの力」の東ルート(チャヤンダガス田から中国国境までの2,156.1キロ、輸送能力年500億立方メートル)の完成・稼働が2019年に予定されているほか(添付資料参照)、2023年までに同P/Lのコビクタ、チャヤンダの両ガス田を結ぶ803キロ(輸送能力年150億~180億立方メートル)の建設が予定されている。サハリンからハバロフスクを経由しウラジオストクまで天然ガスを輸送する幹線P/Lについては、2021年までに369キロを対象に増強し、輸送能力を年300億立方メートルまで引き上げる。

b.の原油P/L拡張については、「東シベリア・太平洋」原油P/Lのタイシェト、スコボロジノの中継基地の輸送能力を2020年までに年8,000万トンまで拡大する。その先のスコボロジノからコジミノ(ナホトカ近郊)原油輸出港までの輸送能力を年5,000万トンまで増やす。

c.ロシア極東での発電・送電能力の拡大については、旧型の発電ユニット41基の運転を停止し、5つの発電所(計1.3ギガワット)の建設・改修を行う。また、「シベリアの力」天然ガスP/L、「東シベリア・太平洋」原油P/Lの輸送能力拡張、シベリア鉄道などの輸送能力の増強に応じた電力供給、ウドカン採鉱冶金コンビナート(サバイカル地方)への電力供給、サハ共和国(ヤクーチヤ)の西部・中央電力区域のロシア統一電力網への接続を目的に、2019~2024年にかけて9つの送電線敷設・変電所建設事業が実施される予定だ。

(注)2018年5月にプーチン大統領が打ち出した2024年までの内政目標(2018年5月8日記事参照)を受け、連邦政府が策定した活動基本計画(2018年10月3日記事参照)に基づく輸送・エネルギー分野のインフラ整備計画。

(高橋淳)

(ロシア)

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