ダウード首相顧問がパキスタン市場をアピール

(パキスタン)

アジア大洋州課、カラチ発

2018年12月14日

パキスタンのアブドゥル・ラザック・ダウード首相顧問(商業・繊維、工業・生産、投資担当)は12月10日、経済産業省内でジェトロが主催したセミナーにおいて、基調講演を行った。2018年8月にイムラン・カーン政権が誕生して以来、新政権の閣僚級の要人が日本のセミナーで登壇するのは初めて。

大手企業グループの創業者でもあるダウード顧問は「私自身もビジネスマンだ。パキスタンに進出している外資系企業の財務諸表を見てほしい。利益を上げられる市場であることは明らかだ」と、パキスタンの市場性をアピールした。また、5年前に比べて治安や電力不足など、さまざまなハードルが縮減されつつあり、「今が投資するのには良いタイミングだ」と語った。電力不足については、「発電所の建設により、既に電力余剰が出ている。残るは送配電の課題だけだ」とした。

写真 講演するダウード首相顧問(ジェトロ撮影)

講演するダウード首相顧問(ジェトロ撮影)

昨今、パキスタン貿易赤字の拡大、外貨準備高の縮小などがリスクとして指摘されているが、ダウード顧問は「パキスタンは歴史上、債務不履行になったことはない」と断言した。また、進出日系企業から改善が要望されている、輸入時の源泉税や内部留保に対する課税などについて「不合理な税金は撤廃したい」と発言した。

また、パキスタンは近年、「一帯一路」の一環である中国パキスタン経済回廊(CPEC)を経済政策の中心に据えているが、ダウード顧問は「全ての開発プロジェクトを中国に頼っているわけではない」と強調し、新しい製油所建設プロジェクトはアラブ首長国連邦(UAE)が請け負ったことを紹介した。参加者から「日本企業、中国企業に求めるものは異なるか。基準は何か」という質問があり、同顧問はこれに対し「国によって基準や制約はない。どの国の企業でも、投資してくれるのであれば歓迎している」と応じた。

別途、登壇したジェトロ・カラチ事務所の久木治所長は「現地日系企業の事業は拡大しており、営業利益も出ている現実的な有望市場だ。赤字でも支払い義務のある最低税には注意が必要」と解説した。三菱商事の安藤公秀パキスタン総代表は「投資する上では、正しいタイミングで正しいビジネスモデルを導入することと、正しいパートナーを選ぶことの2つが重要」とし、パキスタン・ビジネスでの成功のカギがパートナーにあることなどを説明した。

写真 ジェトロ・カラチ事務所の久木治所長(ジェトロ撮影)

ジェトロ・カラチ事務所の久木治所長(ジェトロ撮影)

写真 三菱商事の安藤公秀パキスタン総代表(ジェトロ撮影)

三菱商事の安藤公秀パキスタン総代表(ジェトロ撮影)

(北見創、久木治)

(パキスタン)

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