2018年度日系企業調査、「人材の確保」が中・東欧で顕著な経営課題に

(欧州)

欧州ロシアCIS課

2018年12月12日

ジェトロが12月11日に発表した「2018年度欧州進出日系企業実態調査」(有効回答763社、9月27日~10月25日に調査実施)によると、欧州進出日系企業の2018年の営業利益見通しで、「黒字」と回答した企業の割合は73.9%で前年比1.1ポイント減となった。ただ、非製造業を加えて行った2012年以降の調査で2番目に高い割合となり、7割を超える水準を4年連続で維持した。

「赤字」との回答割合(12.8%)は、欧州景気が回復し始めた2014年(13.0%)に大きく減少し、2015年以降も減少傾向にあったが、今回は増加に転じた。

在英日系企業では、英国のEU離脱(ブレグジット)交渉が不透明な中でも、「黒字」企業の割合(75.4%)が拡大(3.8ポイント増)した。値上げによる利益率改善を要因に挙げる企業などがみられた。

経営上の問題点(複数回答)については、「人材の確保」が前年より8.1ポイント縮小したものの、43.6%の企業が回答し、前年に引き続き最大の課題となった(添付資料参照)。

特に、中・東欧では70.4%の企業が課題として挙げた。中でもチェコの日系企業の回答割合が90.5%となったほか、ハンガリー(66.7%)、ルーマニア(64.3%)、ポーランド(60.0%)でも6割以上になった。これら4カ国では「労働コスト上昇率の高さ」も、大きな課題として浮上した。

2018年と2019年の、前年と比較した営業利益見込みをDI値でみると、両年ともチェコが唯一マイナスの数値を示した。進出先の景気の現状を国別にみると、チェコでは「良い」(59.1%)と「やや良い」(31.8%)を合わせて9割以上の進出企業が景気を実感しているにもかかわらず、失業率が低く、「人材確保」が困難な結果としての「労働コストの上昇率の高さ」が利益を圧縮するとみられる。

どのような人材の確保が課題なのかについて、「マネージャーなどの管理職」(57.1%)の回答割合が最も多く、「工場ワーカー」(33.5%)、「IoT・AI等対応人材」(18.7%)と続いた。中・東欧では「工場ワーカー」(61.4%)を挙げる企業の割合が大きく、「IoT・AI等対応人材」は、製造業のデジタル化が進むドイツやポーランドで比較的に高い割合だった。

経営上の課題として、「欧州の政治・社会情勢」(37.8%)を挙げた企業の割合は前年比11.0ポイント減となった。国別にみると、ブレグジット交渉が続く英国が57.1%となり、ルーマニアと並んで、最も高かった。カタルーニャ情勢が小康状態にあるスペインは54.2%と3番目に高かったが、前年の調査からは28.7ポイントの大幅な減少となっている。

(福井崇泰、田中晋)

(欧州)

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