生態環境部、環境保護査察の「振り返り」第2弾の対象地域を発表

(中国)

北京発

2018年11月06日

生態環境部は10月29日、中国中央政府による1巡目の環境保護査察の「振り返り」(レビュー)査察(第2弾)を実施すると発表した。今回の対象は、山西省、遼寧省、吉林省、安徽省、山東省、湖北省、湖南省、四川省、貴州省、陝西省の計10省で、近日中に実施するとしている。

なお、今回の対象に含まれない河北省などの計10省・自治区については、5月から振り返り査察(第1弾)が実施されていた(2018年5月31日記事参照)。既に実施された第1弾および今回実施される第2弾に含まれない地域(福建省、甘粛省、青海省、浙江省、海南省、新疆ウイグル自治区、チベット自治区、北京市、重慶市、上海市、天津市)も今後、振り返り査察が実施される可能性がある。

中央政府は環境保護査察の1巡目として、2016年7月から2017年9月までの間、4回に分けて各省(自治区・直轄市)に査察チームを派遣し、環境保護政策の執行状況などを監督・検査していた。

今回の査察は、1巡目の査察の「振り返り」との位置付けで、各地での重点環境問題に対する具体的な改善状況などをみるために実施される。なお今回、中央政府から各省・自治区に派遣される各5チームの担当地域と責任者は生態環境部ウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで公表されている。

1巡目の査察では、まず中央政府と地方政府が行った環境規制の一律取り締まり(中国語で「一刀切」)では、個別企業としては排出基準を満たしていても、地域レベルで基準を満たしていないとして、一律に生産を停止させる措置が取られた地域もある(注)。生態環境部は、このような行為を防止するために、「環境の一律取り締まり(一刀切)活動を禁止する意見」を制定し、地方政府に通達しており、今回の査察では、この問題も重点的にみるとしている(2018年5月31日記事参照)。

これを踏まえ、地方政府は、一律取り締まりの代わりとなる措置を取ることが想定される。「21世紀経済報道」のまとめによると「河北省、江蘇省、天津市、河北省唐山市、同邯鄲市、河南省鄭州市、山西省臨汾市などにおいては、公共暖房提供時期に、一律に50%減産などの措置を取らない代わりに、汚染物質排出量に応じた段階的管理およびピークシフト管理などを行う」とされており、その動向が注目される(「21世紀経済報道」2018年10月30日)。

(注)1巡目の査察の結果は、地域・分析レポート「相互監視の徹底が環境規制の最大の推進力に(中国)」(2018年5月29日)の表1で紹介している。

(藤原智生)

(中国)

ビジネス短信 9c0e354a4a31e32e