生態環境部、1巡目の環境保護査察の「振り返り」実施を発表

(中国)

北京発

2018年05月31日

生態環境部は5月25日、中央政府による1巡目の環境保護査察の振り返りを実施すると発表した。対象は、河北省、河南省、内モンゴル自治区、寧夏回族自治区、黒竜江省、江蘇省、江西省、広東省、広西チワン族自治区、雲南省の計10省・自治区で、期間は約1カ月。近日中に実施するとしている。

中央政府は、2016年から約2年ごとに各省(自治区、直轄市)に対し、環境保護査察チームを派遣し、環境保護政策の執行状況、特に重要な環境問題の解決状況、企業などの環境保護責任の執行状況を監督・検査していた。1巡目は、2016年7月から2017年9月にかけて、4回に分けて各省(自治区・直轄市)に査察チームが派遣された。この査察は、中国共産党中央委員会、国務院が批准して実施するものであり、単独部門や地方レベルでの裁量を加えることが難しく、厳格に査察が行われたとされる。

今回の査察は、1巡目の査察の「振り返り」との位置付けで、各地における重点環境問題に対する具体的な改善状況や生態環境保護の長期的・効果的な制度の構築状況などについて実施される。中央政府から派遣される各6チームの担当地域と責任者は生態環境部ウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで公表されており、副チーム長には生態環境部の副部長が任命されている。

1巡目の査察においては、地方政府が環境規制の一律取り締まり(中国語で「一刀切」)を行い、排出基準を満たしているにもかかわらず、地域レベルで満たしていないとして、一律に生産を停止させる措置を取られた地域もある(注)。日系企業についても、排出基準を満たしていたにもかかわらず、数カ月の生産停止を命じられたケースがあった。

生態環境部の5月28日の発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、地方政府が査察期間中に分別なく一律・集中的に生産・営業を停止させる行為を防止するために、「環境の一律取り締まり(一刀切)活動を禁止する意見」を制定したとしている。同意見では、「一律の生産停止・工場閉鎖」「まず生産を停止してから交渉する」などの場当たり的対応を厳格に禁止すること、合法的手続きを経て、環境保護基準を満たす企業については、一律・集中的に生産・営業を停止する措置を取らないことを明確化したとしている。

(注)1巡目の査察の結果は、地域・分析レポート「相互監視の徹底が環境規制の最大の推進力に(中国)」(2018年5月29日)の表1で紹介している。

(藤原智生)

(中国)

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