米国の中間選挙を受け、追加制裁への警戒感強まる

(ロシア、米国)

欧州ロシアCIS課

2018年11月08日

11月6日に行われた米国中間選挙(2018年11月7日記事参照)を受け、ロシアでは米国による対ロ追加制裁が発動されるとの見方が一層強まり、金融分野を中心に経済への影響が懸念されている。

11月7日付「RBK」紙は、下院で民主党が過半数を獲得したことを受け、トランプ米大統領の「ロシア疑惑」に関する徹底した調査への圧力が強まること、下院民主党は今まで対ロ制裁の強化を主張していることから同制裁の追加発動の可能性が高まった、との見方を示している。また、ロシア大統領府のドミトリー・ペスコフ報道官も同日、今回の選挙結果は米ロ間の関係改善にはつながらない、とのコメントを発表しており、ロシアの各メディアの関心は中間選挙の結果から対ロ追加制裁の内容とその影響に向かいつつある。

米国務省のロバート・パラディーノ副報道官は11月7日、英国ソールズベリーで発生した化学兵器使用に関する事案に関し「追加の対ロ制裁を慎重に検討している」とコメント。8月27日に発効した対ロ制裁(2018年8月29日記事参照)に続くもので、本格的な制裁発動までに(米側の要求を満たすため)ロシア側に90日間の猶予が設定されている。米国では追加制裁の内容として、外交レベルの格下げまたは中断、食品を除く全ての米国製品のロシア向け輸出禁止、エネルギー資源を含むロシア製品の輸入禁止、ロシアの民間機の米国発着の停止などが想定されている。加えてロシアでは、金融分野の制裁が課される可能性もあるとして、さらなるルーブル安の進行(図参照)、対内外国投資の減少と外国資本のロシアからの逃避、の2点を中心にロシア経済への悪影響が懸念されている。エコノミストとして知られる元財務相で現在はロシア会計検査院長を務めるアレクセイ・クドリン氏は10月10日、有力経営者団体である産業家企業家連盟(RSPP)の会合で「米国の経済制裁の強化でロシアの景気が後退局面に入り、政権が掲げる経済成長目標が達成できない可能性がある」と指摘している。

図 ルーブルの対ドル為替レートの動き(2018年)

(高橋淳)

(ロシア、米国)

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