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米国の対イラン制裁再開、CIS諸国にも影響

(アゼルバイジャン、アルメニア、ロシア、米国、イラン)

欧州ロシアCIS課

2018年11月06日

11月5日に再開された2段階目の米国の対イラン制裁は、イランと経済関係を持つCIS各国にも影響を与えている。トランプ米政権は、イランに対する核開発を理由とする経済制裁を、8月と11月の2段階に分けて再開すると発表していた(2018年5月9日記事参照)。

イランと国境を接するアゼルバイジャンは、今回の制裁再開により、10月からイラン産天然ガスの購入を停止した。同国は2016年10月にトルクメニスタン、イランとの間でスワップによるトルクメニスタン産天然ガスの購入で合意しており、アゼルバイジャンはイランから2016年は1億241万ドル、2017年には4億5,820万ドルの天然ガスを輸入していた。自国でも天然ガスを産出するアゼルバイジャンは、イランやロシアから輸入した天然ガスを主にジョージアなどへの再輸出に振り向けており、2019年に関しては国内に十分な貯蔵量があることから代替輸入は行なわず、2020年以降はロシア産天然ガスへの切り替えを含めロシアのガスプロムとの交渉を検討している。このほかアゼルバイジャンは、輸送インフラの整備や電力分野での協力などでイランとの協力を進めており(2018年6月6日記事参照)、事業の遅れなど、米国の制裁による影響は避けられないとみられる。

一方、アゼルバイジャンのカスピ海上にあるシャフ・デニズ・ガス田開発事業、ジョージアとトルコを経由する天然ガスパイプライン事業(2018年6月14日記事参照)には、イランの国営石油会社が参画しているが、欧州のロシア産天然ガス依存の軽減が目的に含まれることや、事業配当などは欧州の銀行の特別口座に送金されるため、米国政府は今回の制裁の対象外としている(2018年11月5日付米国官報PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます))。

同じくイランと国境を接するアルメニアは、対イラン関係を経済発展の重要な要素と見なしており、国境での自由経済区の設置(2018年1月5日記事参照)やイランからの観光客の誘致などを推し進めている。ニコル・パシニャン首相は10月25日、同国を訪問した米国のジョン・ボルトン安全保障担当大統領補佐官と会談。アルメニアは外洋に面しておらず、東西で国境を接するアゼルバイジャン、トルコとは国境・歴史認識問題から現在物流が断絶しており、北のジョージア、南のイランを経由した外洋へのアクセスが極めて重要との認識から、「アルメニアは他国の声明・利益に敬意を払うが、アルメニアの国益と一致しない場合もある」とし、同国の苦しい立場を表明している。

ロシアにも、米国の対イラン経済制裁の影響は及んでいる。金融分野では、イランの銀行が100%出資する在モスクワの「ミール・ビジネス銀行」が制裁対象に含まれた。一方、米国務省は11月5日、ロシアの国営原子力会社ロスアトムが原子炉の追加建設で協力する(イランの)ブーシェフル原子力発電所事業については、監視の継続を条件に、今回の制裁対象から除外している(2018年11月5日付米国務省発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

(高橋淳)

(アゼルバイジャン、アルメニア、ロシア、米国、イラン)

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