スタートアップの集積拠点を開設、200社の入居目指す

(台湾)

香港発

2018年10月04日

台湾当局は9月19日、国際的なスタートアップの集積拠点を目指す「林口新創園」(スタートアップ・テラス)の開所式典を開催した(注1)。

スタートアップ・テラスは、2017年8月に台北で開催された第29回ユニバーシアード競技大会の選手村として建設された建物の一部(総面積:5万9,382平方メートル)を改造したもので、国際的なスタートアップの集積拠点とする。プロジェクトは経済部中小企業処(日本の中小企業庁に相当)が推進している(注2)。

写真 スタートアップ・テラス外観(ジェトロ撮影)

スタートアップ・テラスには、スタートアップ企業向けのオフィススペース、コワーキングスペース、会議室、プレゼンテーションスペースが設けられるほか、入居するスタートアップ創業者向けの住居スペースも設置される。

企業の入居は2019年1月に開始される見通しだが、既に米国の「マイクロソフト」や、指輪型ウェアラブル端末を開発する香港のスタートアップ「Origami Labs」など34企業・機関の入居が決定している(注3)。2019年末までに計200社のスタートアップやアクセラレーターの入居を目指している。

入居企業などに対し各種インセンティブを提供

スタートアップ・テラスでは、スタートアップなどの入居を進めるべく、さまざまなインセンティブが設けられている。2019年末までに入居した企業などには、入居1年目の賃貸料が無料、2年目は50%割引される。また、入居企業には、(1)国際的なネットワークを有するアクセラレーターに3年間で最大3,000万台湾ドル(約1億1,100万円、1台湾ドル=約3.7円)、(2)スタートアップに2年間で最大2,000万台湾ドルの資金補助が享受できるスキームも設けられている。

台湾当局はスタートアップに対する支援を強化しており、2018年2月には「スタートアップビジネス投資環境最適化に向けた行動方案」を発表し、2年以内に台湾初のユニコーン企業の誕生を目標に掲げている(注4)。

スタートアップ・テラス開所式典に出席した頼清徳行政院長(首相に相当)は、「スタートアップの発展を非常に重視している。具体的な施策の展開を通じスタートアップの発展を支援している」と述べ、台湾当局としてスタートアップの発展に積極的に取り組んでいることを強調した。

写真 スタートアップ・テラス開所式典に出席した頼清徳行政院長(右から6人目)(ジェトロ撮影)

(注1)スタートアップ・テラスの詳細外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますはウェブサイト参照。

(注2)台湾当局が主導するスタートアップ集積拠点としては、台北市内にある多目的スタジアム「台北小巨蛋(台北アリーナ)」内にテック系スタートアップの支援拠点「TAIPEI TECH ARENA」(TTA)が設置されている(2018年6月26日記事参照)。

(注3)スタートアップ・テラスへの入居決定企業の一覧外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますはウェブサイト参照。

(注4)「スタートアップビジネス投資環境最適化に向けた行動方案」の詳細は2018年3月30日記事参照

(中井邦尚)

(台湾)

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