テック系スタートアップの支援拠点を開設

(台湾)

香港発

2018年06月26日

台湾の科技部は6月5日、テック系スタートアップの支援拠点「TAIPEI TECH ARENA」(TTA)の開所式を開催した。台北市内にある多目的スタジアム「台北小巨蛋(台北アリーナ)」内に設置され、スタートアップ企業が入居するコワーキングスペースが設けられるほか、海外の有力アクセラレーターを誘致し、3~6カ月間の支援プログラムを提供する。年間で最低100社の台湾内外のスタートアップ企業を支援する予定。対象分野は半導体、人工知能(AI)、ソフトウエアで、運営開始は8月中旬となる見通し。

写真 TTAの受付(ジェトロ撮影)

科技部の陳良基部長は、「TTA設置の目的は台湾のスタートアップエコシステムを世に示すことにある。台湾には力強い科学技術の実力と半導体産業があり、テック系スタートアップの後ろ盾となる。台湾は国際的なスタートアップエコシステムにおいて重要な地位を占めることができる」と述べ、TTAの設置を通じた台湾のスタートアップエコシステムの発展に強い期待を示した。

TTAでは、海外のアクセラレーターを通じた支援に加え、国内外の大企業との連携も強化する。AI人材の育成、企業の構造改革・技術開発、スタートアップ企業の海外展開支援などで大企業が有するリソースを活用するほか、スタートアップと大企業の連携も促進する。また、フランス、イスラエル、オランダ、米国などのイノベーション促進機関などと連携しピッチイベントなども開催する。

TTAは、スタートアップ企業にとって重要な資金調達の面での取り組みも強化する。向こう3年間でTTAに入居する少なくとも100社のスタートアップ企業が、アクセラレーターを通じて、合計で1,000万ドルの投資をアーリーステージ(起業直後の段階)で得られるよう、アクセラレーターによる投資奨励策を講じる予定だ。さらに、TTAに入居するスタートアップ企業は、台湾当局主導で設立された「台湾矽谷科技基金」(Taiwan Silicon Valley Technology Fund)からの出資を優先的に受けることができる。

TTAに加え、経済部中小企業処の主導により、台北市郊外の林口地区に「林口新創園(スタートアップ・テラス)」が、第29回ユニバーシアード競技大会(2017年8月に台北で開催)の選手村を改造するかたちで建設される予定だ。台湾内外のスタートアップ企業の集積拠点としての発展を目指す。

(中井邦尚)

(台湾)

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