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2年以内に台湾初のユニコーン企業誕生を目指す-台湾当局、スタートアップ支援を強化-

(台湾)

香港発

2018年03月30日

台湾当局がスタートアップビジネスの育成に本腰を入れつつある。2月にはスタートアップ事業の投資環境改善に向けた方策を策定。2年以内に少なくとも1社のユニコーン企業を誕生させることを目標として掲げたほか、向こう5年間で台湾をアジアにおけるスタートアップ資本集積拠点として発展させることを目指す。

スタートアップの育成を通じた産業構造の転換を

スタートアップビジネスの発展に向け、今回台湾当局が打ち出したのは「スタートアップビジネス投資環境最適化に向けた行動方案」(以下、方案)。2月22日に頼清徳・行政院長(首相に相当)が発表した。台湾当局内の13の部門が参画する横断的な施策であり、2018年の予算投入額は16億2,400万台湾ドル(約59億3,000万円、1台湾ドル=約3.65円)となっている。加えて、産業構造の転換を目的として設けられた「行政院国家発展基金」(以下、国発基金)等を活用したスタートアップ企業への出資強化も盛り込まれた。

頼院長は「スタートアップビジネスの支援・育成は、台湾の産業構造転換のカギを握るほか、国際的なトレンドである」としたうえで「政府としても各種の施策を提供し、スタートアップの成長を支援し、若者が将来の夢を実現できる機会を作り出さなければならない」と、台湾におけるスタートアップビジネス発展に向けて強い意欲を示した。

方案では、具体的な目標として、2年以内に少なくとも1社のユニコーン企業(注1)を誕生させるほか、6年以内に3社のユニコーン企業の誕生を目指している。加えて、台湾のスタートアップ企業が獲得する投資額を毎年50億台湾ドルずつ増加させ、5年後には、シンガポールを抜いて、台湾をアジアにおけるスタートアップ資本集積拠点として成長させるとの目標も掲げている。

目標実現に向けて、方案では(1)アーリーステージ(起業した直後)における資金の充実化、(2)スタートアップ人材の発展と規制緩和、(3)当局とスタートアップとのパートナーシップ強化、(4)スタートアップのイグジット(投資資金の回収)段階における多様な選択肢の提供、(5)スタートアップ企業の海外市場への展開、の5点を施策の柱に掲げた。

アーリーステージにおけるスタートアップの投資環境の改善に向けては、エンジェル投資家(創業間もない企業に投資する投資家)に対する税制上の優遇措置を新たに設けるほか、国発基金による同一スタートアップに対する投資額の上限を500万台湾ドルから1,000万台湾ドルに引き上げる方針だ。また、海外の代表的なベンチャーファンドとの協力を強化し、AI(人工知能)、IoT、AR/VRおよびバイオ医薬など先端産業分野への投資強化も目指す。

人材面では、海外の専門人材の台湾へのさらなる誘致を目指す。2月には「外国専門人材招致雇用法」を施行し、外国人専門人材の就業・居留条件の緩和などを実施した。

政府とスタートアップとのパートナーシップ強化に向けては、政府調達、ピッチイベント(スタートアップが自社の製品・サービスを短時間で紹介するイベント)、ビッグデータのスタートアップへの開放などを図る方針だ。

イグジット段階のスタートアップ企業のさらなる発展に向けては、台湾の株式市場への上場基準の弾力化を図るほか、スタートアップ企業に対するM&A促進に向けた施策も実施する。

スタートアップ企業の海外市場への展開支援も強化する。方案では、外交部(外務省に相当)および経済部(経済産業省に相当)が、イスラエルの手法を参考にしながら、少なくとも台湾が目標とする3カ国からスタートアップビジネス、アクセラレーター(注2)、ベンチャーキャピタルなどを台湾に招聘し、台湾のスタートアップ企業とのマッチングを行う方針だ。また、科学技術部(文部科学省に相当)は、国際的に著名なアクセラレーターを台湾に誘致し、毎年100チームの国際的なスタートアップビジネスを育成することとしている。その他、経済部は、台北市郊外の林口地区のユニバーシアード選手村を活用し、国際的なスタートアップ集積拠点を設立することとなっている。また、スタートアップ企業の海外での拠点設置も支援する。経済部は、海外に設置している台湾当局の代表部等を通じ、スタートアップビジネスの海外拠点設置に関する情報提供、マッチングサービスを展開するほか、スタートアップ企業によるミッション団を派遣し、米国ラスベガスで開催されるCES(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)やスペインで開催されるMWC(モバイルワールドコングレス)などの展示会への参加も進めるとしている。

ベンチャーキャピタル、台湾のAI分野の発展に期待

台湾当局によれば、2016年に台湾のスタートアップビジネスが獲得した投資額は約100億台湾ドルにとどまる。スタートアップビジネスの発展に向けては、公的部門の取り組みのみならず、ベンチャーファンドなど民間部門の参画も欠かせない。

ベンチャーキャピタルによる台湾のスタートアップ企業への投資事例としては、中国の電子商取引企業のアリババ集団が台湾および香港におけるスタートアップビジネスの活発化を目指し2015年に設立した「アリババ創業者基金」の取り組みが挙げられる。同基金は2018年3月、新たに13社の台湾のスタートアップ企業に投資したと発表した。これまでに投資した9社を加えると、同基金が投資した企業数は22社、投資金額は約20億台湾ドルに達している。

アリババ台湾創業者基金の李治平執行総監は「基金が新たに投資した企業の多くはAIの応用開発を行っている。開発分野はソフトの応用のみならず、AIとインフラやモデムとの統合も含まれている。これまで台湾は長期に渡り半導体産業の発展を追求し、ハード技術の面で深い経験と資源の蓄積がある。これらは台湾がAI分野に参入する上で最も良いチャンスを提供している」と述べている。

(注1)企業価値が10億ドル(約1,100億円)以上の非上場のスタートアップ。現時点で台湾にはユニコーン企業は誕生していない。

(注2)スタートアップ企業を成長させるプログラムを提供する企業。

(中井邦尚)

(台湾)

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