トルトネフ副首相、第4回東方経済フォーラムの成果を強調

(ロシア)

欧州ロシアCIS課

2018年09月27日

ユーリ・トルトネフ副首相兼極東連邦管区全権代表は9月13日、ロシア極東のウラジオストクで9月11日から13日まで開催され、自身が実行委員長を務めた「第4回東方経済フォーラム」(注1)に関してプレス向けの仮総括を行った。

それによると、今回のフォーラムに前回を上回る60カ国から6,002人の参加者と1,357人の報道関係者が訪れ、中国1,096人、日本570人(注2)、韓国335人、北朝鮮12人などだった。9月13日朝時点で調印された文書(契約、覚書など)は175件で、事業予定総額は2兆9,000億ルーブル(約4兆9,300億円、1ルーブル=約1.7円)。規模の大きい案件としてトルトネフ氏は、a.チュコト自治管区バイムカ鉄鉱区の開発(総事業費3,600億ルーブル)、b.ナホトカ肥料工場によるメタノール・アンモニア生産設備建設(2,780億ルーブル)、c.「統一航空機製造」のアエロフロート向け「スホイ・スーパージェット100」納入合意(2,100億ルーブル)、d.民間天然ガス採掘大手ノワテク・ロシア極東発展省・カムチャツカ州政府間の液化天然ガス(LNG)中継・保管基地建設に関する合意(695億ルーブル)(2018年8月15日記事参照)などを挙げた。

またトルトネフ氏は、東方経済フォーラム全体会合と関連政府会議(9月10日)でプーチン大統領が指示、もしくは合意された事項として、a.ロスネフチ(原油採掘大手)、ガスプロム(天然ガス採掘大手)、ロスアトム(国営原子力会社)、ロスコスモス(連邦宇宙庁)などロシア極東で規模事業を展開する各政府関連組織・企業がウラジオストク・ルースキー島に技術研究機関を設立すること、b.ロボット工学、自動航海運転、医療、バイオ技術、環境分野などでスタートアップ支援に向け特別な地位をルースキー島に与えること、c.政府プログラム「デジタル経済」に基づくデジタルセンター(2018年1月26日記事参照)を同島に創設すること、d.ロシア極東の投資事業を支援する「ロシア極東発展基金」の増資などを挙げた。

次回2019年開催予定の第5回東方経済フォーラムに関しては、「今までとは少し異なる形式を採用する」と発言。重要なテーマに絞りイベントやセッションを実施、登壇者はプーチン大統領に事業や成果報告を行うかたちに変更することで大統領の合意を得ていることを明らかにした。

(注1)同フォーラムはロシア政府の極東開発政策の一環として2015年からウラジオストクで毎年開催。第1回からプーチン大統領が出席し、ロシア極東の社会・経済問題や外国からの投資誘致に関する議論が行われる。安倍晋三首相も3年連続で参加している。

(注2)今回のフォーラム開催に伴い、2018年5月以降9月13日までの期間で「8項目の協力プラン」(2016年8月2日記事参照)の内容に沿い日ロ間で締結された成果文書が、政府・地域間で5件、民間企業・機関間で40件と発表されている(速報値)。

(高橋淳)

(ロシア)

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