国民の過半は新空港問題に低い関心

(メキシコ)

メキシコ発

2018年09月26日

アンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール(AMLO)次期大統領の政権移行チームは、メキシコ市国際空港の飽和解消のための方策について、10月28日に全国的な意見公募やアンケートのかたちで国民に問う計画だ(2018年8月23日記事参照)。しかし、世論調査会社ミトフスキー(Consulta Mitofsky)が9月13日に発表した調査結果によると、国民の53.0%は新空港建設をめぐる問題について、「関心が低い/全く関心がない」と回答している。

ミトフスキーは9月7~9日に、全国1,000人の有権者に対してアンケート調査を実施した。詳細は添付資料を参照。同調査では、「メキシコ市新空港について次期大統領が国民の意見公募を行うことを知っているか」という問いがあるが、50.5%が「知らない」と回答しており、本件に関する連日の報道の割には国民の認知度は低い。「知らない」との回答比率は高所得層が40.0%であるのに対し、中所得層は52.9%、低所得層では53.8%に達する。ミトフスキーの7月末時点の調査によると、国民の66%が飛行機で旅行したことがないと回答しており、メキシコ国民にとって空港はそれほど身近な存在ではないようだ。

10月28日に行われる意見公募またはアンケートに参加することについては、51.3%は「関心が薄い/全く関心がない」と回答しており、「関心がある」との比率44.7%を大きく上回る。「関心がある」と答えた比率は高所得層では55.6%だが、中所得層は42.4%、低所得層では41.1%にとどまる。メキシコ市国際空港の飽和解消の方策については、「新空港の建設を継続すべき」が42.0%、「現空港とサンタルシア空軍基地の拡張で対応すべき」が19.4%、無回答が38.6%と、新空港建設継続を支持する声が多い。7月1日の大統領選挙でAMLO氏に投票した有権者であっても、新空港建設継続を支持する比率が45.3%に達しているため、AMLO氏支持にかかわらず、新空港建設を望む声が強いことが分かる。

テレビ番組などを通じた賛否の議論が続く

新政権移行チームはAMLO氏の公式ウェブサイト上で、技術士協会などから提出された空港問題についての意見書を掲載しているが、今までのところ新空港建設継続を支持する意見が多い(2018年9月12日記事参照)。9月に入って主要テレビ局は、新空港建設をめぐる賛否両論を討論する番組を相次いで放送している。AMLO氏は同問題について直接、意見表明することを控えており、10月末までに国民が判断を下すのに十分な客観的情報が出そろうことに期待する旨の発言に終始している。

(中畑貴雄)

(メキシコ)

ビジネス短信 22843967c0406eaf