輸入小包の関税支払いの利便性向上、ロシア郵便も可能に

(ロシア)

欧州ロシアCIS課

2018年08月31日

連邦税関局は、個人利用目的で輸入される小包の関税の支払いをロシア郵便経由で行う試験を、2018年11月1日から開始すると発表した。現在、輸入小包を対象にした関税の非課税範囲が2020年に向けて段階的に引き下げられており、連邦税関は関税支払いの利便性をアピールすることで、利用者の反発を和らげようとしている。

連邦税関局のルスラン・ダブゥイドフ副長官が、8月30日にタス通信に述べたもの。ユーラシア経済連合(EEU)域外から個人輸入した小包の関税支払いは、これまで税関窓口または税関のウェブサイト経由でしか認められていなかったが、輸入通関をロシア郵便が行う場合、ロシア郵便経由での支払いが可能になる。ダブゥイドフ副長官は、ロシア郵便以外にも国際宅配達(クーリエ)業者経由での支払いも、今後可能になる可能性も示唆している。2018年1月1日に発効したEEU関税基本法により認定事業者(AEO)制度が拡大され(2018年1月9日記事参照)、国内法の整備も進んだこと(2018年8月8日記事参照)が背景にある。

ロシアを含むEEU加盟国では、個人使用目的の輸入小包への関税の非課税範囲を統一する過程にある(2017年12月28日記事参照)。ロシアの場合、現行の1,000ユーロ相当から、2020年までに段階的に200ユーロ相当まで引き下げる。ダブゥイドフ副長官は「利用者にとっては非課税範囲が維持されることよりも、支払いの利便性が高まる方が重要」と、非課税限度額引き下げによる利用者の不満を意識した発言をしている。

ロシアのインターネット商取引市場は伸び続けており、2017年には取引額が1兆ルーブル(約1兆6,000億円、1ルーブル=約1.6円)を超えた(2018年4月13日記事参照)。「ベトモスチ」紙(2018年4月5日)は、インターネット取引業協会(AKIT)のデータとして、取引額の36%(3,743億ルーブル)が国外の商取引サイトを経由した取引で、金額ベースのシェアでは中国からの輸入が53%、EUが22%、米国が12%を占める(2017年実績)と紹介している。今回の利便性向上が、関税の非課税限度額引き下げに伴う市場拡大への悪影響をどの程度緩和するかは不明だ。

(高橋淳)

(ロシア)

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