欧州議会、英国のEU離脱白書に対する声明を発表

(EU、英国)

ブリュッセル発

2018年07月17日

欧州議会の英国のEU離脱(ブレグジット)問題対策グループ〔以下、BSG:Brexit Steering Group、座長:ギー・フェルホフスタット議員(ベルギー選出)〕は7月12日、英国政府が発表したブレグジット後のEU・英国関係に関する白書(2018年7月13日記事参照)に対する声明を発表した。同声明の中で、同白書について「新たな関係の構築に向けた一歩」と評価したが、ブレグジット以降の北アイルランド地域をめぐる英国政府の立場の明確化も迫った。

北アイルランド問題での立場の明確化を英国に求める

BSGは7月12日に会合を開き、英国のテレーザ・メイ首相が7月6日に発表したチェッカーズ・ステートメント(2018年7月10日記事参照)および今回の白書についての協議を行った。声明によれば、BSG会合に出席した欧州議員はこれらを新たな相互関係の構築に向けた一歩として評価したという。

ただしBSGは、EU・英国間の将来関係については、離脱協定に基づいて秩序ある離脱を実現することが大前提にあるとの認識を示した。また、アイルランドと北アイルランドの国境における通関措置を含む国境管理の復活を阻止し、北アイルランドの単一市場との一体性を維持するための「バックストップ規定(back-stop provision)」が認められなければ、欧州議会として移行期間を含む離脱協定を承認することはない、との立場をあらためて強調。アイルランドと北アイルランド問題の解決を担保する特別規定導入についての立場の明確化を英国政府に迫った。

このほか、BSGはEU・英国の双方にとって信頼できる紛争解決メカニズムについても、離脱協定を通じて合意する必要があると指摘している。BSGは、離脱協定やEU・英国間の将来関係についての協議は7月16日の週以降も継続するとしたが、緊密な経済・貿易関係を実現するためには、EUが求める「4つの自由(移動)の不可分性」「単一市場の一体性」「セクター別アプローチ(重要産業など特定分野に配慮する協議形式)の拒否」「金融市場の安定」「EUの意思決定の自律性」「EU・英国の権利・義務のバランス」という大前提があることも確認した。

(前田篤穂)

(EU、英国)

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