EUとの将来関係に関する交渉方針を発表

(英国)

ロンドン発

2018年07月10日

テレーザ・メイ首相は7月6日、首相公式別邸(チェッカーズ)に全閣僚を招集し、英国のEU離脱(ブレグジット)後のEUとの将来関係に関する閣議を開催、同日夜には閣議で合意したEUとの交渉方針に関する声明を発表した。

声明によると、英国はEUとの間で「物品に関する自由貿易圏」を確立することをEUへの提案の核に据える。また提案に関する4点で合意し、今週発表予定の白書で詳細について示す予定だ。

1点目は、英国は品目によっては除外する権利を持ちつつも、農水産品を含む全ての物品に関してEUと共通の規則を維持すること。一方でサービスに関しては、英国の規則の柔軟性を確保するため異なる取り決めを追求し、EUの間で現行水準の市場アクセスを維持できなくなるとしている。

2点目は、公正で開かれた貿易に関する相互に強力なコミットメントをEUとの将来関係を規定する法的文章に組み込むことで、公正な貿易環境を確保するとした。英国は国の補助金に関して、EUとの共通ルールを適用する。また、環境、気候変動、厚生、雇用および消費者保護についてこれまでの高度な規制水準を維持することとした。

3点目は、英国・EU間の諸合意に関し一貫性のある解釈と適用を実現するため、共同の制度上の枠組みを確立すること。英国が引き続きEUと共通の規則を適用する分野では、EUの判例法を考慮しつつ、英国では英国の裁判所、EUではEU司法裁判所(CJEU)がそれぞれ判断を下すこととしている。

4点目では通関に関する取り決めに触れ、英国とEUが円滑化された通関取り決めの段階的な導入に向け協議することを提案した。本提案が適用された場合、英国とEUが統合された1つの関税地域であるかのように通関検査をなくし、英国を仕向地とする物品には英国の貿易政策、EUを仕向地とする物品にはEUの貿易政策を適用するとしている。

このほか、閣内の合意事項として、(英国・EU間の)ヒトの自由移動を終了し英国に入国する(EU国籍者の)人数を制限する方針なども掲げられている。メイ首相は「世界の国々との通商協定を締結する自由を兼ね備えた、ビジネスフレンドリーな関税モデルに合意した」とコメントした。

(木下裕之)

(英国)

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