対ロ追加制裁に対する対抗措置法が発効

(ロシア)

モスクワ発

2018年06月07日

プーチン大統領は6月4日、米国の対ロシア追加制裁への報復のために起草された連邦法第127号「米国・その他の外国による非友好的行動に対する作用(対抗)措置について」(対抗措置法)に署名、即日発効した。同法案は5月22日に下院第3読会を通過、5月30日に上院で承認を得ていた。下院第3読会通過後に修正は加えられていない(2018年5月29日記事参照)。

専門家の多くは対抗措置法を、さらなる制裁強化に対する牽制とみている。国際人文政治調査研究所エキスパートのウラジミル・ブルテル氏は「ロシアは具体的な報復措置を発動したわけではなく可能性を残したにすぎない。今後の動向は米国、EUなどの西側諸国次第」とコメント(政府系テレビ「RT」6月4日)。FX取引大手アルパリのナタリア・ミリチャコワ分析部副部長は「対ロ制裁を強化した場合、しっぺ返しを受けるというメッセージだ」とし、BKFバンク分析局長のマクシム・オサドチー氏も「今回の法令は抗議的な性格のもの」と指摘した(地方テレビ「360°」6月4日)。

制裁順守行為の罰則は行政責任を問うかたちに

対ロ制裁を順守する行為に対して罰則を科す内容の刑法の改正案(2018年5月17日記事参照)については、ビジネス界からの猛反発を受け審議が延期された(2018年5月18日記事参照)。

パベル・クラシェニンニコフ下院国家建設・立法委員長は5月25日、同法案の第2読会において「制裁への協力」(第2項)については刑事責任を問うかたちで残すものの、「制裁順守行為」(第1項)に関しては刑事責任ではなく行政違反責任を問うかたちに変更する(行政違反基本法に修正を加える)可能性があると述べた(与党「統一ロシア」発表5月25日)。

ビャチェスラフ・ボロジン下院議長は、刑法の改正に関しては連邦政府での検討を経て6月中旬に第2読会が開かれると言及。一方、行政違反基本法の修正に関する法案は6月中に提出され、下院春会期末(7月19日)までに第1読会を開き、第3読会は秋に行われるとしている(「コメルサント」紙5月31日)。

(齋藤寛)

(ロシア)

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