米国追加制裁への対抗制置法案が下院通過

(ロシア)

モスクワ発

2018年05月29日

4月6日に発表された米国の対ロシア追加制裁(2018年4月10日記事参照)を受け、ビャチェスラフ・ボロジン下院議長らが起草した法案「米国・その他の外国による非友好的行動に対する作用(対抗)措置について」(以下、法案)が5月22日、第3読会を通過した。上院での審議を経てプーチン大統領による署名の後、公示とともに発効する。

当初作成された法案には16項目が盛り込まれていた(2018年4月25日記事参照)が、最終的には6項目に削減され、また、禁止・制限の対象となる産業分野、製品、役務・サービスに関する具体的な記載も外された。具体的な措置は次のとおり。

  1. 非友好国および非友好的組織との国際協力の中止・中断。
  2. 非友好国を原産地とする、もしくは非友好的組織が製造した製品・原材料の輸入の禁止・制限。対象品目リストは連邦政府が決定。
  3. 非友好的組織への製品・原材料の輸出の禁止。対象品目リストは連邦政府が決定。
  4. 国・地方自治体が実施する公共調達における役務・サービスの非友好的組織による実施の禁止・制限。対象役務・サービスは連邦政府が決定。
  5. 国・地方自治体による私有化および私有化に伴う役務・サービスへの非友好的組織の参加の禁止・制限。
  6. 大統領による決定に基づくその他の措置。

他方、ロシアで生産されていない生活に不可欠な製品・類似品、および、上記2.に関連しロシア国民、ロシアの居住する外国人などが個人利用目的で輸入する際には適用外とする例外規定が設けられた。

本法案は、非友好国からロシア国民の自由と権利を擁護し、ロシアの利益と安全保障に対する脅威の除去・最小化を目的とする。対抗措置の導入・撤廃は大統領の決定に基づき連邦政府が行い、また大統領の決定は、国家安全保障会議での提案に基づいて行われる。

(注)法案では、米国、およびロシアに対して政治的・経済的制裁を導入している諸国を「非友好国」とし、対象国の企業・国民が直接または間接に出資する企業を「非友好的組織」と規定している。

(齋藤寛)

(ロシア)

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