日本含む対アジアEPA/FTA発効を急ぐEU

(EU、日本、シンガポール、ベトナム)

ブリュッセル発

2018年05月28日

欧州委員会は5月24日、EUとして交渉妥結している日本、ベトナム、シンガポールとの通商協定について署名・発効を迅速に進めるとする政策文書を公開した。これは3カ国との協定の迅速な署名・発効を要請する、欧州サービス・フォーラム(ESF、注)から欧州委のセシリア・マルムストロム委員(通商担当)に出された意見書(4月12日付)に対する回答として明らかにされた。

日本・シンガポールとのPEA/FTA協定は2019年中の発効を目指す

この政策文書の中で、同委員はESFの認識を共有するかたちで「交渉妥結した通商協定を迅速に発効させることが、その効果・機会をEUの企業・消費者がいち早く享受できることにつながる」と指摘。特に日EU経済連携協定(EPA)については、「EUとしてこれまで交渉した中で最も重要性の高い通商協定(the most important trade agreement ever negotiated by the EU)」と表現した。

欧州委は4月18日に日EU・EPAと、EU・シンガポール自由貿易協定(FTA)およびEU・シンガポール投資保護協定(2018年4月19日記事参照)についてEU理事会に対して署名を提案したが、同委員は日EU・EPAについて交渉妥結からEU理事会に対する署名提案まで4カ月で実現したことを強調。この期間に協定原文(英語)から他のEUの公用語への翻訳や法的整合性確認などの作業を欧州委として集中的に対応したと述べている。

ただし、EU・シンガポール投資保護協定については「混合協定」(2017年5月17日記事参照)として提案されたため、全てのEU加盟国としての批准プロセスが必要になるとの認識を示した。他方、日EU・EPAとEU・シンガポールFTAについては、2019年の任期中の発効に向けて、欧州委として総力を挙げると言及した。

このほか、EU・ベトナムFTAについては現在、ベトナム側で法的整合性の最終確認を進めており、翻訳作業を含め、準備が整い次第、EU理事会に対する署名提案を行い、2018年内をめどに欧州議会の承認を得たいとしている。

(注)ESFは欧州のサービス事業者を代表する産業団体。

(前田篤穂)

(EU、日本、シンガポール、ベトナム)

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