ロシア新興財閥などを対象に米国が追加制裁

(ロシア、米国)

欧州ロシアCIS課

2018年04月10日

米国財務省は4月6日、ロシア政府関係者および新興財閥、その関係者計26個人と15団体を新たに制裁対象として特別指定国民(SDN)リストに追加した(米国財務省プレスリリース4月6日外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。ウクライナおよびシリア情勢へのロシアの関与、(諸外国に対する)サイバー攻撃など、世界に対して脅威を与えていることをその理由としている。対象者・団体の米国における資産は凍結され、米国内における取引も禁止される。

今回はエネルギー資源や鉱物資源関連の主要企業とその関係者が対象になったことから、ロシア経済への一層の影響が懸念される。今回の追加制裁により、ロシアに対する経済制裁では累計で93個人、132団体(注)がSDNリストに登録された。

資源関連企業も対象に

制裁対象には、国有武器輸出会社ロスオボロンエクスポルトやニコライ・パトルシェフ連邦安全保障会議書記などの国防・安全保障関係者・企業のみならず、資源関連企業も多く含まれるのが特徴。アルミ大手ルスアルおよびオレグ・デリパスカ社長、レノバ・グループおよびビクトル・ベクセリベルク会長、ガスプロムのアレクセイ・ミレル社長などが含まれる。

特にルスアルは収益の約2割を米国が占めており、制裁の影響は大きい。モスクワ証券取引所の同社の株式は4月9日、一時46.9%下落した。同社が以前「米国による制裁が発動された場合にはテクニカルデフォルト(金利の支払いが一時的に滞るなど、返済資金はあるものの所期の条件が満たせなくなる場合の債務不履行)の可能性がある」と述べたことが不安視されたかたちだ(ノーボスチ通信4月9日)。

米国のリスク分析コンサルティング会社のユーラシア・グループは、今回の制裁を「これまでになく大きな影響を与えかねないもの」と指摘する。特に、ガスプロムのミレル社長を含めたことは、欧州への天然ガス輸出にも影響を及ぼしかねないものとしている。ロシア政府は、制裁対象となった企業に対する支援策を検討している。

(注)ウクライナ関連だけでなく、シリアやキューバ、国際犯罪などに関連する制裁を含む。

(戎佑一郎)

(ロシア、米国)

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