外国人就労許可、60歳以上や非大卒に厳しい内容に-2017年4月施行の実施方案-

(中国)

広州発

2016年12月26日

 国家外国専門家局は9月27日付で「外国人来中工作許可制度試験実施方案の通知」(外専発[2016]151号)を発布、外国人の中国での就労許可について、これまでの「外国人入境就労許可」と「外国専門家来中工作許可」を「外国人来中工作許可」に統一するとした。2017年4月1日の施行に先立ち、広東省では11月1日から試行されているが、従来より年齢や学歴に対する条件が厳しくなっており、工場の生産管理などで比較的年齢の高い人材を活用する中小企業への影響は大きいとみられる。

<年齢と学歴により就労許可を制限>

 方案(2016128129記事参照)の最大のポイントは、外国人就労者をハイレベル人材(A類)、専門人材(B類)、一般人員(C類)に分類し、それぞれの条件が詳細に規定されている点だ。A類は大企業幹部や著名な研究者、起業家などを主な対象とし、C類は国が招く人材、遠洋漁業などの特殊業務、季節性労働者などの分野に限られるため、多くの日系企業駐在員はB類として認定を得ることになる。B類の認定について、広東省で特に問題が生じると推測されるのは、満60歳までという年齢制限と、大学卒でないと認定を得ることが難しい条件になっている点だ(表12参照)。

表1 外国人就労者の類ごとの認定条件
表2 外国人就労者の類ごとの申請に係る制限

 広東省では製造業の中小企業を中心に、工場の生産管理のために経験豊富な50歳代後半の人材や定年退職者を駐在させることも多い。一貫して工場で勤務してきた人材は大学卒でない場合もある。日系企業と広東省内各市の意見交換会でも、日系企業からの要望として、60歳を超える人材の就労許可取得の改善がたびたび挙げられている(2016年8月8日記参照)。

 

60歳以下でも大卒でなければ取得困難>

 これまで、多くの市で外資系企業の首席代表など一定の役職があれば、60歳以上でも就労許可の取得が可能なケースがあったが、今回の方案では、60歳以上は原則としてB類への申請が制限されている。仮に「需要に応じて制限を緩和」されたとしても「外国人来中工作分類標準(試行)」によると、「学士以上の学位と2年以上の関連業務の経験を持つ人材」の満たすべき条件として「グローバル企業のミドルクラス以上の従業員、外資系企業の中国常駐代表機関の首席代表および代表」などの条件をクリアしなければならず、対応に悩まされる企業が増えそうだ。

 

 60歳未満であっても学歴が大卒でない場合、B類と認定されるのは基本的に「『点数評価制度』で60点以上」の人材に限られる(2016年12月8記事参照)。そのハードルは高く、例えば、中小企業勤務、56才、高校卒、年収30万元(約510万円、1元=約17円)、中国語未修得の場合は49点となり、B類の規定には届かない。評価項目では地方政府による推奨加点が最大で10点あるが、ここで満点を与えられたとしても59点で1点不足することになる。この場合、年収を35万元以上に引き上げるなどの対策が必要となる。

 

(河野円洋)

(中国)

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