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就労許可新制度の特徴を詳しく解説-外国人就労に関わるセミナー開催(1)-

(中国)

北京発

2016年12月08日

 ジェトロは、11月9日に天津市で天津日本人会と、18日には北京市で中国日本商会との共催により、それぞれ外国人就労に関わる諸制度に関するセミナーを開催した。GPパートナーズ法律事務所の陳文偉弁護士らが、2016年10月に一部の地域で始まった外国人就労許可の新制度と、外国人就労に関わる租税・諸費用について解説した。2回に分けて報告する。

<管理は外国専門家局に一本化、手続きも全国統一>

 陳弁護士は外国人就労許可の新制度について講演した。主な内容は以下のとおり。

 

 新しい外国人就労許可制度は、201741日から全国で施行される。これに先立ち2016101日から2017331日までを試行期間として、北京市、天津市、河北省、上海市、安徽省、山東省、広東省、四川省、雲南省、寧夏回族自治区の10地域で、新しい外国人就労許可制度が試験的に運用される。新制度には従来とは異なる次の特徴がある。

 

1)外国人就労者をA類(ハイレベル人材)、B類(専門人材)、C類(一般人員)の3種類に分類する。

2)従来「外国人入境就労許可」「外国専門家来中工作許可」の2種類ある就労許可は、外国専門家局が管理する「外国人来中工作許可」に一本化され、一人一人に一生有効な就労番号が付与される。

3)これまで地域により違いがあった申請書類、所要期間、手続きが、今後発表される「外国人来中就労許可のサービス指針」により、全国で統一される。

4)全国でオンライン申請が導入される。

5)従来一部の地域で必要だった公証・認証を受けた「無犯罪記録証明書」の提出が、A類は不要となるなど、手続きが簡素化される。

 

 なお、新制度が201741日に全国で施行された後も、従来の2種類の就労許可書は有効期限まで引き続き有効だが、新しい「外国人就労許可証書」への切り替えを申請することもできる。

 

<ハイレベル人材のA類は手続きが早く完了>

 国家外国専門家局が2016927日付で発表した「外国人来中就労許可制度試験運用案」(以下、運用案)にAC類の分類基準が示されている。

 

 A類は、中国の経済・社会の発展に早急に必要な人材を指す。中国の人材誘致計画の対象者、ノーベル賞などの国際的な賞の受賞者、フォーチュン500企業における高級管理職、特許など知的財産権を所有する創業者、35歳以下で世界上位200の大学の博士、研究者など具体的な該当者の条件が運用案に記載されている。このほか、ポイント加算による「点数評価制度」で85点以上の人材もA類に分類される(表参照)。

表 点数評価要素(試用版)

 B類は、「外国人来中就労指導目録」(講演時点は未発表)の対象業種で、職位の必要性に適合し、中国の経済・社会の発展に必要な人材を指す。学士号以上の学歴と中国で就業予定の業務に関連する2年以上の職歴がある人材、外国語の教員などのほか、点数評価制度で60点以上の人材もB類に分類される。

 

 C類は、中国の政策の規定に適合する臨時的、季節的、特別な技術を持たない、またはサービス的業務に従事する一般人員を指す。具体的には、ハイレベル人材に付帯する家政サービス従事者、国境における季節的な労働者などが挙げられているが、対象業務が限定されている。外国企業の駐在員として就労許可を申請する場合、C類で就労許可が下りることは基本的に考えにくい。

 

 外国人を雇用する組織が「外国人就労許可通知書」を申請する手順は、インターネットで申請書類を提出後、予備審査でA類となればオンラインで手続きが進み、5営業日で審査が済む。一方、B類とC類は窓口での手続きが必要となり審査日数は、10営業日となる。その後、就労者は中国入国後15日以内に「外国人就労許可証書」を申請する。この審査も、A類の5営業日に対し、B類とC類は10営業日となる。審査に合格し、外国人就労許可証書が発行された後は、従来どおり公安局で居留証を取得する。従来と手続きはほぼ同じだが、全体の手続きと所要期間が明確になり、A類はより早く手続きが完了する。

 

<不法行為は将来の就労に影響も>

 新制度に対応するために企業がすべきことは、まず総経理や人事責任者が新制度の内容を理解し、今後の駐在員を選任する際に制度に合う人材か考慮すること、また外国人就労許可手続きを担当する従業員が新制度の内容を勉強し、必要な手続きを行うこと、が挙げられる。運用案には、就労許可証書の更新や抹消を含め、手続きや必要な書類などが明記されており参考になる。

 

 既に中国で就労している駐在員についても、AC類のいずれに該当するか、点数評価制度の点数評価要素をみながら確認することが望ましい。A類とB類に該当しない場合、就労許可が更新できない可能性があるので、帰任させるか、点数加算に該当する対応の可否を検討する。なお、A類には提出資料の簡素化などさまざまなメリットがあるのに対して、B類は業種によっては今後、就労許可が制限される可能性もあり得ることから、条件に適合するのであればA類で就労許可を申請する方がよい。

 

 新制度では、一生有効な就労番号が付与されることから、中国で不法行為をした場合、記録が残ることに注意が必要だ。過去の不法行為により、就労許可が下りない可能性がある。将来の中国での就労に不利な影響がないよう、就労終了時の抹消手続き、社会保険の納付、個人所得税の納付など、中国の法令順守を心掛けるべきだ。

 

(日向裕弥) 

(中国)

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