天津市、2016年の賃上げ基準ラインを9%に引き下げ
(中国)
北京発
2016年08月10日
天津市政府は7月13日付で、2016年の賃上げ基準値である賃金ガイドラインを発表した。基準ライン9%、上限ライン16%、下限ライン3%で、前年に比べ、基準ラインは1ポイント、上限ラインは2ポイントそれぞれ引き下げられた。基準ラインは2014年から3年連続で引き下げられている。
<上限ラインは16%に引き下げ>
「2016年の天津市企業の賃金ガイドラインの通知」の賃金ガイドラインは、法的強制力はないが、賃金の団体交渉制度を導入している企業をはじめ、労使の賃金交渉を行う上での目安になっている。同通知の内容は次のとおり。
○2016年の賃金ガイドラインは基準ライン9%、上限ライン16%、下限ライン3%〔ただし天津市の最低賃金月額1,950元(約2万9,250円、1元=約15円)を下回らない〕とする(表参照)。
○宿泊飲食業、卸売・小売業、建築業、住民サービス業、リース・商業サービス業、水利環境・公共施設管理業、交通運輸倉庫・郵送業などの業種の賃金ガイドラインは、天津市人力資源・社会保障局が別途公表する。
○企業は自社の経済的便益、人件費を勘案し、賃金ガイドライン、労働市場の給与水準などを踏まえ、賃金調整を行う。具体的には、(1)前年度の平均賃金が天津市の平均賃金(2015年月額4,944元)以下の企業は、賃金の引き上げ率を賃金ガイドラインの基準ライン(9%)と上限ライン(16%)の間で調整すること、(2)前年度の平均賃金が天津市の平均賃金を上回り、3倍未満の企業は、賃金の引き上げ率を賃金ガイドラインの下限ライン(3%)と上限ラインの間で調整すること、(3)前年度の平均賃金が天津市の平均賃金の3倍以上の企業は、原則として賃金の引き上げ率を賃金ガイドラインの基準ラインを上回らないよう調整すること、(4)賃金ガイドラインに沿った賃上げを行わない企業は、従業員にその理由を説明すること。
○賃金団体交渉を実施する企業は「天津市賃金団体交渉条例」の規定により、賃金ガイドラインに基づき賃金の団体交渉を行い、賃金団体協議書を締結し、賃金上昇率を取り決める。
○天津市が直接管理する国有単独資本企業、国有持ち株会社などは、賃金ガイドラインに基づき賃金引き上げ率を決める。
<基準ラインの引き下げは3年連続>
今回発表されたガイドラインは、前年に比べ、基準ライン(前年10%)が1ポイント、上限ライン(18%)が2ポイント引き下げられた。基準ラインは2014年以降3年連続引き下げられ、1桁となった。なお、6月に発表された天津市の従業員平均賃金(2015年)の名目上昇率は5.5%、7月1日施行の最低賃金の引き上げ率は5.4%となっている(2016年7月5日記事、7月8日記事参照)。
(日向裕弥、鄭慧)
(中国)
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