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FDA、トランス脂肪酸を生成する油脂の使用を原則禁止に-食品メーカーは3年以内の対応を迫られる-

(米国)

シカゴ事務所

2015年06月22日

 米食品医薬品局(FDA)は6月16日、トランス脂肪酸を生成する部分水素化油脂の使用を原則禁止すると発表した。猶予期間は3年間とされており、部分水素化油脂を使用している食品メーカーは、2018年6月までに代替品に切り替えるなどの対応を迫られる。

<部分水素化油脂の製造過程でトランス脂肪酸が生成>

 FDA616日に、トランス脂肪酸の原因となる部分水素化油脂の食品への添加を原則認めないとする決定を発表した。FDAは規制導入の可否について201311月に、60日間の意見公募(パブリックコメント)を実施していた(2013年11月20日記事参照)

 

 部分水素化油脂は、植物油から固体または半固体の油脂製品を製造する際に水素が添加された硬化油で、マーガリンやショートニングなどさまざまな食品の原材料となっている。トランス脂肪酸はこの部分水素化油脂の製造過程で生成され、クッキーやドーナツ、ケーキなどの菓子類、ピザやフライドポテト、冷凍食品など多くのものに含まれている。トランス脂肪酸には、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)を増やしHDLコレステロール(善玉コレステロール)を減少させる働きがあり、動脈硬化、心臓疾患などの原因になり得ると指摘されている。

 

 部分水素化油脂はこれまで、FDAによる「GRAS」(Generally Recognized as Safe、一般に安全と認められるの意)認証の下、使用の際の事前承認は不要だったが、今後は通常の添加物と同様、使用前にFDAの承認を受けることが必要となる。2018618日までに添加物として承認を受けていない限り、使用は禁止される。

 

<トランス脂肪酸の過剰摂取の防止に狙い>

 この措置には、トランス脂肪酸の過剰摂取を防止する狙いがある。2003年に世界保健機関(WHO)が、1日のトランス脂肪酸の摂取量を摂取エネルギー量の1%未満に抑えるよう勧告しており、米国では2006年以降、食品にトランス脂肪酸が0.5グラム以上含まれる場合には含有量を記載することが義務付けられている。今回の措置は、トランス脂肪酸の発生源となる部分水素化油脂の使用を禁止した点で、これまでの食品表示規制よりもさらに厳しい内容となっている。

 

 今後も部分水素化油脂の使用を希望する場合は、企業や業界団体がFDAに申請し、添加物として承認を得る必要がある。承認が得られれば、申請を出さなかった企業も使用が認められる。しかし、業界を代表して高額のコストをかけてまで申請を出す企業があるかは不透明で、自社で申請を行わず他企業の申請を待つのは現実的な対応とはいえないだろう。添加物としての承認が期待できない場合は、代替油の使用に切り替えることが求められる。

 

 なお、トランス脂肪酸は部分水素化油脂だけでなく、牛や羊などの反すう動物由来の食品(牛肉やラム肉、乳製品など)にも微量含まれているが、こうした自然由来の食品は添加物扱いとはならないので、今までどおり使用が可能だ。

 

 20142月にパブリックコメントに付した食品表示規制の大幅な見直し案(2014年4月25日記事参照)の最終化や、20158月末以降の食品安全強化法(FSMA)の主要規則最終化(2015年6月5日記事照)など、食品に係る規制強化の動きが活発化しており、米国に食品を輸出している企業は留意する必要がある。

 

(伊藤大介)

(米国)

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