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工場閉鎖時に売却先を探す義務を怠る企業への制裁規定は削除−「実体経済の回復を目指す法律」が発効−

(フランス)

パリ事務所

2014年04月15日

工場閉鎖を計画する企業に売却先を探すことを義務付ける「実体経済の回復を目指す法律」が4月2日に発効した。ただし、売却先を探す義務を怠った場合に科される同法の制裁規定は、憲法評議会により違憲と判断されたため、削除された。

<憲法評議会の違憲判断により制裁規定を一部削除>
「実体経済の回復を目指す法律」(2014年3月7日記事参照)は、従業員1,000人以上の企業(子会社を含む)に対し、工場を閉鎖する際にその工場の売却先を探すことを義務付けるもの。2014年2月24日に可決されたが、野党の国民運動連合(UMP)が「企業の自由、刑罰の平等性に関し憲法に違反する」として、憲法評議会に同法の合憲性について付託していた。憲法評議会は3月27日、罰金など制裁規定の一部を違憲と発表。これを受けて4月1日付の官報に制裁規定を削除した内容が掲載され、4月2日発効となった。

憲法評議会が憲法違反と判断したのは、同法の制裁規定の「企業が売却先を探すことを怠った場合、あるいは事業全体の継続を危険にさらすといった正当な理由なく売却を拒否したと商業裁判所が判断した場合、企業の年間売上高の2%を上限とし、解雇する従業員1人につき最高で月額法定最低賃金(SMIC)(注)の20倍(約2万9,000ユーロ)の罰金を科すことができる」という条文だ。

「企業の事業全体の継続を危機にさらす場合のみ売却を拒否できる」とする条文を、「企業が経済的困難を見越して行動し、決定することを妨げる」ものであるとし、商業裁判所がその判断を下すことについて、「裁判官が企業家に代わり企業の経営および発展に関する選択を評価することになる」とした。また、「解雇する従業員1人につき月額SMICの20倍」の罰金を、「不釣り合い(に高い)金額」として、憲法違反との判断を下した。

制裁規定のうち、売却先を探す義務を怠る企業に対し、「商業裁判所は、閉鎖に先立つ2年間に受けた公的援助の返納を要求することができる」という条項は残った。罰金がなくなったことで工場閉鎖に対する抑止力は軽減されたが、工場閉鎖を伴う集団解雇の手続きは複雑化した。

<経済界は歓迎の表明>
日本の経団連に相当するフランス企業運動(MEDEF)は、憲法評議会の制裁規定違法の発表を受けて、「『実体経済の回復を目指す法律』は企業の経営の自由と財産権を侵すもので、施行不可能かつフランス経済にとり危険なものと政府、議会に警告していた。憲法評議会が同じ結論に達し、憲法違反との判断を下したことを喜ばしく思う。政府が今後策定する予定の『責任協定』(2014年1月29日記事参照)に関する法案が、より現実的なものになることを期待している」と発表した。

(注)月額SMICは2014年1月1日現在、1,445.38ユーロ。

(奥山直子)

(フランス)

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