優遇税率の対象を「企業」から「プロジェクト」に変更−新法人税法(1)−

(ベトナム)

ホーチミン事務所

2014年02月27日

新しい法人税法が1月1日から施行された。税率の引き下げ、将来の税率削減スケジュール、優遇対象の「企業」から「プロジェクトからの利益」の変更、中小企業や環境配慮企業の優遇など、新法人税法について2回に分けて解説する。前編は全産業分野に関する改正点を中心に。

添付ファイル: 資料PDFファイル( B)

<税率下げのほかに重要な改正も>
2013年6月1日に改正された法人税法(2014年1月27日記事参照)は、一部を除き2014年1月1日から施行されている(注)。新法による法人税率と優遇制度の内容は添付資料の表のとおり。

改正のポイントは優遇対象が「企業」から「プロジェクト」に変わったことだ。特に、いわゆる「4免9減」(優遇される新規プロジェクトによる売り上げが発生した初年度から4年間の免税と次の9年間の税率半減)について、旧法では主な優遇対象は新たに設立された企業だったが、新しい法律では対象が企業からプロジェクトの利益になり、優遇を受けられる範囲が広くなった。この改正の理由は、多岐にわたって活動する企業に対する優遇を設けて公平性を高めることにあると考えられる。

なお、既存プロジェクトは対象外で、優遇分野として認可を受けた新規プロジェクトのみが対象となる。

<不景気による減収や中小企業にも優遇税率>
今回の改正では、景気対策・中小企業対策も目立つ。景気の影響を受けやすい中小企業と年間売上高が200億ドン(約1億円、1ドン=約0.0049円)以下に落ちこんだ企業などを支援するため、税率が20%に引き下げられた。一般の企業の税率も段階的に引き下げられる予定で、そのスケジュールも明らかにされている(2014年1月1日から22%、2016年1月1日からは20%)。

<課税対象利益の費用算入の上限を引き上げ>
課税対象利益の費用算入の上限も引き上げられた。利益を計算する際に、旧法では費用算入を認められる広告費用、販売促進費用、支払い割引(支払期限前に支払いが行われた場合の割引金)などはコスト全体の10%以下とされていたが、新法では、費用算入できる広告費用、販売促進費用の上限が引き上げられ、合計15%まで認められることになった。また支払い割引は上限なく費用に算入できることになった。

(注)売上高200億ドン以下の企業税率20%、低所得者向け住宅投資・経営からの利益に対する税率10%は2013年7月1日に発効している。

(グエン・チュオン・ザン)

(ベトナム)

ハイテク関連産業の優遇範囲を明確化−新法人税法(2)−

ビジネス短信 530d518f38a40