法人税の税率が25%から22%に引き下げ

(ベトナム)

ハノイ事務所

2014年01月27日

1月1日から、法人税の税率が25%から22%に引き下げられた(2013年6月19日公布、法人税法Law 14/2008/QH12号の一部を修正および補足する改正法Law 32/2013/QH13号)。今回の引き下げは、低迷する国内経済の回復が狙いにある。一方で、引き下げによる税収減を補うため、税務当局による税務調査が強化されることが懸念される。

<2016年には20%に引き下げ>
新しい法人税率は国内の全ての企業に適用される。税率の引き下げスケジュールは以下のとおり。

○2014年1月1日から:税率22%に引き下げ
○2016年1月1日から:税率20%に引き下げ

なお、売上高が200億ドン(約1億円、1ドン=約0.005円)を超えない企業については、2013年7月1日から税率20%に引き下げられている。既に優遇税制を受けている企業については、本改正による影響は今のところない。

今回の法人税引き下げの背景には、国内の景気低迷がある。2011年2月に施行された政府決議第11号により金融引き締めを行ったことから、企業の資金調達が困難となり、特に不動産・建設業は経営状況が悪化した。

ベトナム統計総局によると、実質GDP成長率は2010年(6.8%)に比べ、2011年(5.9%)、2012年(5.0%)と2年連続で低下している。2013年(5.4%)は回復傾向にあるものの、2014年については、アジア開発銀行(ADB)が5.5%、世界銀行も5.4%と2013年に引き続いて5%台の成長を見込むにとどまっている。

一方で、当地報道によると、2013年の活動停止企業は6万737社(前年比11.9%増)と、依然多くの企業が厳しい状況下にある。

このため、今回の法人税の引き下げにより企業負担が軽減し、国内経済の活性化が図られることが期待される。

<税務調査が厳しくなる恐れも>
今回の改正に関する日系企業への影響としては、アジアではシンガポール(17%)、タイ(20%)に次いで低い法人税率が適用されるため、新規進出企業にとっては税制上の魅力の1つとなるだろう。

ただし、経済特区、社会的・経済的に困難な地域、ハイテクパークに進出する企業、そのほか、ハイテク企業認定企業、裾野産業認定企業など、既に優遇税制の恩典を受けている企業には影響はない。

一方、法人税の引き下げによる税収減を補うため、税務当局による税務調査が今後ますます強化される恐れがある。在ハノイ日系会計事務所によると、最近、税務総局や各地方の税務局による税務調査の件数が増えている。2013年の税収額が年間目標の7割しか達成できていないという話もあり、税収ノルマ達成に向けた税務当局による対応が今後高まることが懸念される。

(古賀健司)

(ベトナム)

ビジネス短信 52e0e23d57670