海外における日本産食材サポーター店認定制度

日本産食材サポーター店インタビュー Teavolution(ティーボリューション)

生産者から直接買い付けるホンモノ志向のお茶専門店

所在地:ブダペスト(ハンガリー)

生産者から直接買い付けるホンモノ志向のお茶専門店

ティーボリューションは、ブダペスト市中心からドナウ川沿いに少し北上した場所にある小さなお茶専門店である。販売するのは、日本、台湾、中国産の茶葉で、どれも厳選された一級品。茶葉は、品質を保つために密封して冷蔵、もしくは冷凍されており、店内に並べられてはいない。代わりに茶器やお香などが美しく並んでおり、これらも購入できるようになっている。

静かで落ち着いた雰囲気の店内には、試飲できるスペースがある。中2階では、少人数のお茶セミナーの開催が可能。共同オーナーのナジ・バラ―ジュ氏とカパーシュ・ドーラ氏曰く、ティーボリューションはティールームではない。単なる小売店でもなく、「ショールーム」。お茶についてまったく知識のない人が来訪しても、丁寧に応対する。

のめり込んだお茶の世界をハンガリー人にも

ナジ氏がそれまでの安定した職を捨て、パートナーのカパシュ氏とお茶の世界に入る決意をしたのは、2013年に台湾人友人からもらった茶葉がきっかけだった。一口飲んで、「同じ『お茶』でこんなに味が違うのか」と衝撃を受けた。砂糖やミルクを足さなくても、茶葉そのものの味に魅了され、自然と笑顔になっていたと言う。

2人はその後数年間、お茶の種類や歴史、各地の銘品など徹底的に勉強し、さらにのめり込んだ。探求を続け、ハンガリーで本物のお茶の奥深さを知ってもらい広めることこそが「生きがい」と確信。そのような想いが結実したのがティーレボリューションである。2017年にブダペスト市の中心街にオープンした後、2020年10月に現在の場所に移転した。

生産農家との関係を大切に

ティーレボリューションが扱う茶葉のほとんどは、ナジ氏が自分の足で生産農家を訪ね、自分の目で栽培管理や生産処理、品質管理など確認したものである。日本では京都・宇治のほか、静岡、鹿児島も訪問。日本語は話せないが、生産者らは、彼のお茶への造詣の深さや、ハンガリーで裏千家や習字を習っていることを知ると心を開いてくれるという。大きな輸入代理店を通すより直接の買い付けを好むのは、家族経営の生産者から学ばせてもらい、いっしょに働き、良い関係を築きたいからだ。

茶葉のラインナップは季節により異なるが、日本からは抹茶、煎茶、玄米茶、ほうじ茶など25種程度を揃える。ハンガリー人には抹茶、煎茶の人気が高いという。

抹茶に関しては、「丸利吉田銘茶園」と「堀井七茗園(ほりいしちめいえん)」という2つの老舗から調達している。丸利吉田銘茶園からは「松の園」、「巨椋の昔」など。堀井七茗園からは「清心の白」、「成里乃」など。合計では、茶道用(セレモニーグレード)は10品、飲料・食品加工用(カリナリーグレード)は3品程度である。

ティーレボリューションはその他に、中国や台湾製の白茶、緑茶、ウーロン茶、青茶(烏龍茶)、黒茶、プーアル茶など数十種扱っている。

高品質なものだけ提供

ブダペスト市でも近年、抹茶は“Matcha”として市民権を得つつある。抹茶ラテや抹茶を使ったスイーツなどをリーズナブルな価格で気軽に楽しめるものが目立つ。一方、ティーボリューションで扱う商品は、ハンガリーの所得水準からすれば決して安価とは言えない。例えば、抹茶ならば30グラムの小さな缶で、5400~19900Ft(約1800~6700円)の高級品だ。

しかし、ティーボリューションは品質の保証されたもののみ提供し、そこから外れるつもりはない。「私たちのしていることはニッチ。大衆向けの商売をすればもっとお金は手っ取り早く稼げるかもしれないが、あくまでも本物を知ってもらいたい。そのプロセスはゆっくりかもしれないけれど、確実にお茶を評価する人は増えると思う」(ナジ氏)。

啓蒙活動に注力

ナジ氏は、伝統的なお茶の文化を広めるには教育がカギと考えている。そのために実店舗の他にソーシャルメディアやウェブサイトでも積極的に発信。サイトでは全商品が買えるようにしているほか、お茶に関する記事、また抹茶の点て方、煎茶の入れ方の動画なども配信している。また、月に1~2回は、試飲セミナーも開催。ハンガリーの水は硬水のため、セミナーではまず水の選び方から伝授する。そしてお湯の温度、入れ方まで丁寧に解説、それぞれの茶葉が持つ風味や特性を体感してもらう。それはさながら、ワインティスティングのようである。

今後は、ウェブショップを通じてハンガリーだけではなくヨーロッパの顧客も増やすことを目標にしている。そのため英語表記も加えている。ナジ氏は、「コーヒーでサードウェーブが起きたように、お茶でも新たな波が興せるはず。マーケットはないなら自分で作らないと」と意気込む。そのためには、とにかく「教育、教育、教育」と語った。

Teavolution
1036 Budapest, Nagyszombat utca 1/C.
Nagyszombat utca 1/C.
(+36) 30-552-1981
(+36) 30-953-4939
E-mail:Info@teavolution.eu
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