海外における日本産食材サポーター店認定制度
日本食材サポーター店インタビュー TEACOOD
健康効果と日本文化を追い風に日本茶の世界を体現
所在地:コモ(イタリア)

イタリアで日本茶の世界を作る
TEACOOD(ティーコード)は、ミラノ市内から北に車で約1時間行ったコモ湖畔のコモ市にある。コモ市は高級リゾート地としても世界的にも有名で、そのメイン通りに近い場所に店舗がある。
ミラノでコンサルタント業を営むJDWコンサルティング社の一つのプロジェクトとして発足したティーコード。イタリアでは2015年に開催されたミラノ国際博覧会(テーマ:食料)以降、日本食が広まったが、日本茶はブランド化が進んでおらず、同社は日本茶の生産者名や産地をさらにPRすべく、同店舗を2023年10月に出店した。 “イタリアに日本茶の世界を”というコンセプトのもとに店舗を展開。プロジェクト・マネージャーの深谷郡子(ふかやくにこ)氏は、「お茶は単なる飲み物ではなく、深い歴史や文化がある」と語り、店舗には日本茶が初めて輸出された際に使用されたラベル(復刻版)や、日本人書道家の作品等を展示し、日本茶や和の文化が感じられる店舗を意識している。

EU規制は商品の細かい事前チェックでクリア
ティーコードが輸入商品を決める際の主要なポイントは産地の特徴があるがどうかという点。例えば静岡であれば深蒸し煎茶、京都であれば抹茶、玉露等、産地の特徴が出るお茶を自社で直接輸入し、現在合計5都道府県から輸入している。
EU諸国への輸入のハードルとなる残留農薬規制等の規制については、既に当該規制を取得済の商品から輸入商品を選定する。日本の各生産者に直接連絡し、条件に適合する生産者へ直接足を運び、話を聞き、試飲して輸入するかを最終決定する。
輸入手続きについては、取引先の通関業者から情報を収集し、規制対応を相談し、集荷、輸出入、配送までを一貫して依頼している。
ティーコードでは、商品出荷前にすべての書類を入手して事前に確認。商品ラベルについても、日本側で必要な情報がイタリア語ですべて記載されているか等を細かく確認している。今まで貿易に関しては、日本茶や関連製品ともに大きなトラブルは出ていない。
日本文化とともに着実に若者にも日本茶が浸透
現在の1番人気は抹茶パウダーで、50gで22ユーロ程度の手頃な商品が人気。イタリアでも抹茶は飲み物としてだけでなく、お菓子作りに利用する人も多い。抹茶に次いで人気があるのは、煎茶、番茶、ほうじ茶、玄米茶で、同店舗で最初に販売し始めたのが伊勢茶であり、顧客が伊勢茶への知識を深めていることが要因。また顧客が商品を選ぶ際のポイントとして“香り“も重要で、香りに特徴のある玄米茶やほうじ茶等が選ばれるケース多い。
購入者は地元リピーターが中心で、同じ人が同じ製品を購入し続けるケースが多い。立地上、海外からの観光客の来店も多いが、抹茶は地元客と観光客の双方の客層に知られている。年齢層が上がるにつれて日本茶の茶葉の商品が好まれる傾向にあるが、およその顧客年齢層は18~35才と35~50才の層でほぼ半々。イタリアでは学校でも日本の芸術作品等が紹介されており、若者が日本を知る機会が増えていることも若者客増加の背景にある。

イタリアのお国柄を捉えて日本茶普及を推進
来店者から最も多い質問は「カフェインが少ないものはどれか?」というもので、その他健康効果についての質問が多い。コーヒー文化のイタリアで、カフェインや健康を気にする人が増えている証左となっている。同店舗では、カフェインの少ないお茶や、淹れるにつれてカフェイン濃度が薄くなるお茶の特徴等の説明を丁寧に行う。なかには自分好みの美味しいお茶の淹れ方を探りたいと興味津々になる顧客も多く、お茶の効能を知り、毎朝コーヒーではなくお茶を飲むようになった顧客もいる。
また深谷氏は、「地元のイタリア人と接触し、出会うことが重要なポイント」と話し、日本茶の生産者等を日本から招いてセミナーや試飲会等のイベントを開催し、直接のコミュニケーションを重視したイベントを実施している。
職人気質、コミュニケーションを重視するお国柄のイタリア。ティーコードはその特徴を捉えながら、今後もイタリアでの日本茶の世界作りに邁進していく。

- Via Porta, 8 22100 Como Italy
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https://www.teacood.com/
(オンラインショップ)https://www.teacoodonline.com/