海外における日本産食材サポーター店認定制度

日本産食材サポーター店インタビュー Restaurante Sato

日本食への深い理解と現地感覚の融合が生み出す本格派レストラン

所在地:レオン (メキシコ)

食体験を通じて、日本の街を歩いているような感覚を提供したい

日本や欧米の自動車関連メーカーが集積するメキシコ中央高原バヒオ地区。同エリアで最大の人口を誇るのがグアナファト州レオン市である。「Restaurante Sato」はレオン市内の高級レストランが集まる「Casa de Piedra」と呼ばれるエリアに店舗を構える人気店だ。
日系企業の進出に伴い日本文化が浸透したことによって、グアナファト州レオン市には親日家であるメキシコ人も多く、Satoはメキシコ人と日本人が賑わう人気のレストランとして様々な層から支持されている。本格的な日本食を提供するSatoでは、ビジネスマンたちが会食する光景が見受けられる一方で、家族や友人が集結して誕生日を盛大に祝う姿が見られるなど、多様な場面で利用されている。
Restaurante Satoを運営するfynso グループ ゼネラル・ディレクターのフェリペ・イッアルテ・ヌニェス氏は「私たちは『Satoでの美食体験を通じ、お客様が日本の街を歩いているような気持ちを感じて頂く』ことを意識しながら、日々お客様と向き合っています」と語る。

始まりは寿司の「ファストフード店」

フェリペ氏とノエミ夫人の出身地であるチアパス州タパチュラ市という小さな町には、多くの日本人が移民政策を通じて古くから在住していたことから、幼い頃から日本文化が自然と身近なものであったという。30年以上前に首都メキシコ市へと移住したフェリペ氏は、日本食レストランで現場の料理人としてのキャリアを開始する。

その後、1993年にフェリペ氏は寿司を基軸としたファストフード店舗 「Sushi Tai」の1号店をレオン市内に開業した。現地のメキシコ人にとって当時は馴染みのない存在であった「寿司」をカジュアルに提供した同店舗は、開業直後より大きな成功を収めたという。
「Sushi Tai」の多店舗展開に着手しながら、更なる事業の拡大を画策していたところ、日系の自動車関連企業がバヒオ地区に進出するニュースが発表された。日系企業が急激に進出し、日本人の移住者が急増すること等を知ったフェリペ氏は、本格的な日本料理を提供する新形態のレストランを開業することを決意。フェリペ氏を中心としたメキシコ人の社員たちによる日本食料理に関しての探求が始まった。

「本物の日本に触れる」ことで磨きをかけてきた

フェリペ氏は「私たちが手掛けるサービスや料理に磨きをかけるため、日本と米国へ何度も足を運びました。行く先々で、献身的に情熱を注ぐ多くのシェフ達との出会いを通じ、多くのインスピレーションを受けてきました」と語る。
fynsoグループで勤務するメキシコ人の料理人を連れて日本へ訪問し、現場の料理人たちが「本物の日本に直接触れてもらう」ことを徹底してきた。現地で得た知識を社内で共有し、日本の真髄をお客様に伝えることを絶やさず続けてきたという。一方で、Satoの顧客に対して「日本」を伝えるためには料理人たちの技術向上のみならず、日本から調達する食材や酒類の活用が重要であるとフェリペ氏は話す。 日本産の食材については、日本食を提供する上で欠かせない味噌や調味料を日本より調達するのみならず、日本産のハマチを刺身として販売する他、ハマチを焼いてハマチ・ステーキとしても提供している。また酒類のカテゴリーにおいては、日本産のウイスキー「響」の売れ行きが好調であることに加え、菊水の純米吟醸酒などの日本酒も多くの方々より支持されており、日本酒の愛飲家も存在するようだ。

「日本食普及の親善大使」となったフェリペ氏の更なる挑戦

フェリペ氏は、メキシコにおける日本食市場を牽引してきた重要な人物である。日本の農林水産省は、海外での日本食や食文化の魅力を発信してもらう「日本食普及の親善大使」として、2022年12月14日にフェリペ氏を新たに任命した。映えある親善大使の任命を受けた裏側には、前述の通りフェリペ氏の日本食に対する膨大な探究や努力の積み重ねがあったことは言うまでも無い。
フェリペ氏いわく、メキシコにおける日本料理は急激に進化しており、日本食に対しての需要が近年高まっているとのこと。今後、過酷な生存競争を勝ち残っていくためには、食材への拘りと本物の追求する探究心で差別化を図り、常に学び続ける素晴らしいチームを持つことが重要であると話す。
メキシコ人の趣向や感覚を理解した上で、様々な形態の日本食レストランを創り出してきたフェリペ氏が率いるfynsoグループ。今後は日本産の食材や酒類をより一層活用し、本格的な寿司屋の開業を検討しているという。 「日系企業のプレゼンスが高いこのバヒオ地域で、Satoがより一層愛されるブランドに育てていきたい。食材への拘りと本物の追求する探究心を通じて、これからも顧客の皆様に日本をより身近に感じてもらいたい」とフェリペ氏は語る。今後も自身の経験とノウハウを通じてメキシコの日本食市場をリードし、新たな食文化を創造したいと、強い意気込みを聞かせてくれた。

Restaurante Sato
Av Cerro Gordo 12, Casa de Piedra, 37120 León, Gto. +52 477 718 1213
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