海外における日本産食材サポーター店認定制度

日本産食材サポーター店インタビュー KOMEYUI 米結

絶品のお米が結ぶ、日本とオーストラリア

所在地:メルボルン(オーストラリア)

「米」で文化を「結」ぶ

オーストラリアの南東部に位置するビクトリア州の州都メルボルン。シドニーに次ぐ経済規模の都市であり、世界の住みやすい都市ランキングでは6年連続でトップに輝いたこともある人気の都市だ。その中心部を流れるヤラ川の南に、KOMEYUIはある。

たくさんのおしゃれなカフェや、歴史あるマーケットなども近接するこのエリアで、KOMEYUIは2021年創業10周年を迎えた。日本の主食である「米」と人やモノをつなぐ「結」という漢字を組み合わせた店名は、オーナーである熊野氏の思いが込められている。「米で文化を結びたいんです」と話す熊野氏は、北海道出身。一番の人気メニューである寿司に使われているのは、味にこだわった北海道産米。さらに、オープン当時から使い続けている鋳鉄製の羽釜で炊き上げるというこだわりを見せる。丁寧にじっくり炊き上げられたお米はまさに絶品で、数多くの食通をうならせる。

寿司の次に人気のメニューは、日本酒

寿司に次いで人気のメニューは日本酒だという。ワインやビールなど、アルコール飲料が豊富かつ安価なオーストラリア市場では、“Sake”に手が伸びる消費者はまだ多くはない。どうやってお客様に提供しているのかと尋ねると、“Omakase”と呼ばれるコース料理にペアリングをしているという。「あえて銘柄数をむやみに増やすことはしないんですよ」と熊野氏は話す。毎回来るたびに違う酒を楽しめる工夫だ。「お客様の主観で味わっていただきたいので」と、お酒の細かな説明も必要以上には行わない。産地を紹介する程度にとどめ、あとは食事とのペアリングを純粋に楽しんでもらうことに集中する。それでも、オープン直後の頃は、まずは日本酒を知ってもらうべく、振る舞い酒を無料でお客様に提供する等、苦労も重ねてきたという。様々な工夫と努力の積み重ねによって紡ぎ出されるペアリングは、試さずにはいられないメニューだ。

オーストラリアらしく、多国籍のエッセンスを融合

「Local Produce(地元産品)」を大切に、地元への敬意も忘れないこともKOMEYUIのポリシーだ。「そもそもお寿司の原点は、その土地で手に入るネタで握ること」と話す熊野氏は、地元食材も積極的に用いている。また、食材だけではなく、移民が多い多文化国家であるオーストラリアの消費者に受け入れられるための工夫も欠かさない。たとえば、KOMEYUIにはインドネシア、マレーシアなど多様な文化背景をもつシェフがいて、全てのメニューは彼らとディスカッションをしながら創作している。文化が違えば、レストランに求めるものも違う。「アジア系のお客様は食事そのものを求めてくる人が多いが、西洋系のお客様は友人や家族と集うソーシャルな“場”としてのレストランを求める人も多い。両方を満たせるお店でありたい。」と熊野氏は話す。「日本で食べた日本食よりおいしい」という感想がお客様から寄せられるというのも納得だ。

食べ物を売るだけではない。文化を広める

今後気になる食材として熊野氏があげたのは、珍味や発酵食品、保存食品など。「塩漬けや酢漬けなどの保存食の文化は世界中にあるが、日本の郷土料理からもヒントを得ている」と話す。専門誌や日本の食文化についての書籍などを読んで探求していそうだ。ただ、それもそのまま提供するだけでは受け入れてもらえない。いかにオーストラリア人にとって食べやすいものにするか、工夫を凝らしつつ、「オーストラリアから保存食や珍味の文化を発信するのが生涯のテーマなんです」と楽しそうに話す。その信念は、食べ物を売るだけではなく、文化を広めること。その手にかかれば、今後一体どんな新しい食文化が生まれるだろうか。ただ日本食そのものをそのまま提供するだけではなく、絶品のお米を軸に、様々な文化や地元食材を結び合わせたKOMEYUIの一皿が、たくさんのオーストラリア人に愛されたこの10年間。次の10年間にも大きな期待をしたい。

KOMEYUI
181 Ferrars St, South Melbourne, VIC 3205, Australia
+61-3-9645-5420
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